フィリピン:移行クレジットを活用した早期石炭火力廃止に係る取り組み

掲載日:2024年8月23日

8月19日付地元記事によると、8月16日、フィリピン・アヤラグループのACEN社はシンガポールのGenZero社及びKeppel社と提携し、フィリピン石炭火力発電所をクリーンエネルギー施設に転換すると発表した。

当該プロジェクトは、フィリピンで2番目に大きな国際港であるバタンガスにある246MWの南ルソン火力発電公社(SLTEC)発電所の廃炉を迅速に進めるため、移行クレジットを活用するもので、石炭火力発電所を太陽光発電と蓄電池システムに置き換える事で化石燃料の段階的廃止を目指す他の国々のモデルとなることを目指している。

また当該プロジェクトは、再利用された石炭施設から移行クレジットを生成する世界初のプロジェクトの一つとなる予定であるという。

移行石炭クレジットは、石炭発電所の段階的廃止に資金を提供する画期的な方法である。当該クレジットは石炭発電所廃止に伴う資金ギャップを埋めるために設計されており、石炭火力発電所を予定より早く廃止し、再生可能エネルギー源に置き換えることで回避される排出量を炭素クレジットに変換し、売買することが可能とするものである。

ACEN社のフランシアCEOは「フィリピンはエネルギー転換の取り組みをリードしており、今回の協力は、フィリピン国内だけでなく、世界規模でのビジネスチャンスを広げる可能性がある」と述べた。

パリ協定の目標に沿ったこのプロジェクトは、フィリピンとシンガポールの気候変動目標を支援するもので、コンソーシアムはまた、パリ協定第6条に基づく炭素クレジット取引の可能性も模索する。

(石炭開発部 宮崎 渉)

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