米国:米国の一般炭のアジア・アフリカ向け輸出が急増、欧州向けは減少
掲載日:2024年9月13日
9月4日付の米国エネルギー省エネルギー情報局(U.S. Energy Information Administration: EIA)によると、米国の2024年上半期の一般炭の輸出量は、アジアおよびアフリカ向けが急増し、米国の一般炭及び原料炭の輸出量総合計は5,300万ショートトンとなる見込みである。尚、2023年上半期の同輸出量合計は4,900万ショートトンであった。
米国からアジアへの一般炭の輸出量は、2024年上半期に前年同期比で19%増(230万ショートトン増)となり、主にインドと中国向けが増加した。インドは2023年にアジア向け輸出の57%を占めており、2024年上半期もレンガ製造用として大量の米国産一般炭を輸入している。残りの増加分の大半は中国の電力会社によるものとされている。アジアは2017年以降、世界のどの地域よりも多くの米国の一般炭を輸入しており、2009年以降毎年米国の最大の輸入先であった欧州を抜いている。
米国からアフリカへの一般炭輸出は2023年上半期の330万ショートトンから2024年同期には530万ショートトンへと前年同期比60%増加した。2024年上半期における米国の一般炭の輸出量全体の内98%をエジプトとモロッコに輸出しており、モロッコに280万ショートトン、エジプトに240万ショートトンを輸出した。この北アフリカ向けの輸出量が増加した主な理由は、製造業務の効率化につながる米国の一般炭の高い熱含有率が評価され、セメント工場やレンガ製造業を中心に強い需要があるためである。
一方、2024年上半期における米国の欧州向け一般炭の輸出は、前年同期比63%減の240万ショートトンとなった。暖冬による燃料需要の低迷、電力会社による天然ガスの利用拡大、再生可能エネルギーによる発電量の増加が欧州への輸入量減少の理由とされている。
米国から欧州への輸出量は、ロシアによるウクライナ侵攻の本格化に伴いロシアからのエネルギー購入に対する制裁のため、2021年の640万ショートトンから対ロシア制裁が発動した2022年に1,400万ショートトンへ増加した後、2023年には米国の対欧州輸出量は1,050万ショートトンへと減少している。(図1および図2参照)
出所:U.S. Census Bureau
図1 2023年および2024年上半期の米国の輸出地域別一般炭輸出量
(単位:100万ショートトン)
出所:U.S. Census Bureau
図2 2010年から2024年上半期の米国の輸出地域別一般炭輸出量の推移
(単位:100万ショートトン)
米国からアジアへの一般炭の輸出量は、2024年上半期に前年同期比で19%増(230万ショートトン増)となり、主にインドと中国向けが増加した。インドは2023年にアジア向け輸出の57%を占めており、2024年上半期もレンガ製造用として大量の米国産一般炭を輸入している。残りの増加分の大半は中国の電力会社によるものとされている。アジアは2017年以降、世界のどの地域よりも多くの米国の一般炭を輸入しており、2009年以降毎年米国の最大の輸入先であった欧州を抜いている。
米国からアフリカへの一般炭輸出は2023年上半期の330万ショートトンから2024年同期には530万ショートトンへと前年同期比60%増加した。2024年上半期における米国の一般炭の輸出量全体の内98%をエジプトとモロッコに輸出しており、モロッコに280万ショートトン、エジプトに240万ショートトンを輸出した。この北アフリカ向けの輸出量が増加した主な理由は、製造業務の効率化につながる米国の一般炭の高い熱含有率が評価され、セメント工場やレンガ製造業を中心に強い需要があるためである。
一方、2024年上半期における米国の欧州向け一般炭の輸出は、前年同期比63%減の240万ショートトンとなった。暖冬による燃料需要の低迷、電力会社による天然ガスの利用拡大、再生可能エネルギーによる発電量の増加が欧州への輸入量減少の理由とされている。
米国から欧州への輸出量は、ロシアによるウクライナ侵攻の本格化に伴いロシアからのエネルギー購入に対する制裁のため、2021年の640万ショートトンから対ロシア制裁が発動した2022年に1,400万ショートトンへ増加した後、2023年には米国の対欧州輸出量は1,050万ショートトンへと減少している。(図1および図2参照)
出所:U.S. Census Bureau
図1 2023年および2024年上半期の米国の輸出地域別一般炭輸出量
(単位:100万ショートトン)
出所:U.S. Census Bureau
図2 2010年から2024年上半期の米国の輸出地域別一般炭輸出量の推移
(単位:100万ショートトン)
(石炭開発部 福水 理佳)
おことわり:本レポートの内容は、必ずしも独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構としての見解を示すものではありません。正確な情報をお届けするよう最大限の努力を行ってはおりますが、本レポートの内容に誤りのある可能性もあります。本レポートに基づきとられた行動の帰結につき、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構及びレポート執筆者は何らの責めを負いかねます。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。