英国:高等法院、30年ぶりに承認されていた炭鉱開発許可が違法であったとの判決

掲載日:2024年9月20日

9月13日付現地報道によると、英国高等法院はイングランド北西部ホワイトヘブンのウッドハウス炭鉱に対し、過去の炭鉱開発許可は違法との判決を下し、現行計画許可を破棄した。
 
2022年12月、保守党政権の下で30年ぶりに国内炭鉱での開発許可が出されていたが、環境運動家は炭鉱プロジェクトの気候アセスメントにおいて、政府が有害な排出物をすべて考慮していないとして異議を唱えていた。
 
また、6月の総選挙で発足したスターマー労働党政権は7月に行われる高等法院での審議の直前、法律上の誤りがあった事を認めて、弁護を行わないと発表していた(2024年7月19日付:スターマー新政権、新規炭鉱承認決定は法律上の誤りだったとして、訴訟から撤退https://coal.jogmec.go.jp/info/docs/240719_5.html参照)。

13日、ホルゲート判事は判決文の中で、当時の保守党政府は石炭を採掘することによって排出される気候変動の全容を適切に考慮しておらず「提案されている炭鉱が温室効果ガスの排出を正味で増加させない、あるいはネットゼロの炭鉱であるという仮定は、法的に欠陥がある」と述べた。
 
この判決を受け、West Cumbria Mining社は、改めて高等法院の判決の影響を検討すると広報担当者は述べた。

(石炭開発部 宮崎 渉)

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