モンゴル:エルデネス・タバントルゴイ社の経営陣選定のための国際公開入札を実施

掲載日:2024年10月4日

9月26日付地元報道によると、モンゴルの内閣は25日、国営大手石炭採掘会社エルデネス・タバントルゴイ社(Erdenes Tavantolgoy:ETT社)の経営陣を選定するため、公開国際入札プロセスを開始する予定であるという。

ETT社は、モンゴル南部の60億トンの埋蔵量を有する広大なタバントルゴイ原料炭・一般炭炭鉱の大部分を所有している。2022年後半、同社は大規模な「石炭マフィア」汚職スキャンダルに巻き込まれ、企業統治が問題視された。

モンゴルのロヴサンナムスライ・オヨーンエルデネ首相は、公開入札を開始するための措置を講じるよう当局に指示し、また閣僚にETTの企業統治を改善し、利益と価値を高めるよう要請したと報じられている。落札者の選定を支援するために国際コンサルタントが雇用される予定である。

現在、中国製鉄所がモンゴル炭を大量購入しており、中国にとって豪州に代わりモンゴルが最大の供給国となっている。これは豪州に比べ安価で、地理的に有利なことによるもので、2023年にモンゴルは中国の原料炭輸入の半分以上を供給した。

2020年、中国は豪州と外交的に対立して以降、中国は原料炭をモンゴルから調達するようになった。その後関係は改善したが、インド等他国の需要により豪州原料炭価格は高止まりし、それ以降も中国製鉄所のモンゴル原料炭への需要は高い水準で推移している。

モンゴルの露天掘り炭鉱で生産される安価な石炭は、トラックや鉄道で中国北部国境まで輸送されている。「供給された石炭は硫黄分や灰分が少ない。大連商品取引所の先物契約で要求される受渡基準に非常に近く、トレーダーはショートポジションを相殺するために利用できる」と報じている。

モンゴルの石炭輸出のほぼ全てが中国向けとなっており、2023年の中国向け石炭輸出には6,960万トンを記録しモンゴルのGDPが7%上昇した。モンゴルは2024年、石炭輸出予測を7,800万トンに引き上げ、政府は2025年には8,300万トンが達成可能だと見積っている。モンゴルの輸出収入の90%以上は、主に中国向けの銅等の鉱物資源の販売収入による。アジア開銀(ADB)は石炭輸出の急増を背景に2024年のモンゴルGDPの予測を4.1%から5.5%に上方修正している。

(石炭開発部 宮崎 渉)

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