ポーランド:豪Green X社、ポーランドでの炭鉱事業に関するポーランド政府への仲裁請求に勝訴

掲載日:2024年10月25日

10月8日付地元報道によると、豪GreenX Metals(以下GreenX社)は、豪州=ポーランド二国間投資条約とエネルギー憲章条約の双方に基づくポーランドに対する仲裁請求に勝訴したと発表した。

国際法廷において、ポーランド政府側がヤン・カルスキ(Jan Karski)原料炭プロジェクトに係る条約上の義務に違反したと全会一致で判決を下され、同社は2億5,200万ポンド(3億2,500万米ドル)の賠償金を受け取ることになった。

2020年、当時Prairie Mining社と呼称していたGreenX社は、ポーランド政府に対する国際仲裁手続きを開始し、ヤン・カルスキ炭鉱とデンビエンスコ(Dębieńsko)炭鉱の2炭鉱に対し同社の投資を阻止した事は二国間条約に違反していると主張した。

ポーランドのメディアは当時、同社が最大100億ズロチ(26億4,000万米ドル)の賠償を求める可能性があると報じた。

デンビエンスコプロジェクトに関しては、仲裁裁判所は条約に基づく請求を支持しなかった。

これらのプロジェクトには一般炭だけでなく原料炭も含まれており、発電用燃料である一般炭は環境への懸念から投資誘致に苦戦しているものの、製鉄材料の原料炭は依然として戦略的な鉱物とみなされている。

同社は国際紛争専門の法律事務所Laliveと米国の法律事務所Boies Schiller Flexnerが共同代理を務めた。この訴訟は国連国際商取引法規則委員会のもとで提起された。この裁定は最終的かつ拘束力を持つ。

「GreenXのヤン・カルスキプロジェクトに関する仲裁裁判所の全会一致の決定は、鉱業業界と国際投資家全般に対し、二国間および多国間投資協定制度によって与えられる保護に対するさらなる信頼を与える」とLaliveのパートナーのマーク・ベイト氏はニュースリリースで述べた。「本件は資源ナショナリズムがどこで起ころうとも、たとえ先進的な欧州経済の場でも、資源ナショナリズムに対抗する有効な手段が存在することを浮き彫りにしている」とベイト氏は述べた。

(石炭開発部 宮崎 渉)

おことわり:本レポートの内容は、必ずしも独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構としての見解を示すものではありません。正確な情報をお届けするよう最大限の努力を行ってはおりますが、本レポートの内容に誤りのある可能性もあります。本レポートに基づきとられた行動の帰結につき、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構及びレポート執筆者は何らの責めを負いかねます。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。

レポート一覧

Adobe Reader

PDF形式のファイルをご覧いただくには、アドビシステムズ社から無償配布されているAdobe Readerプラグインが必要です。

ページの先頭へ