ロシア:中国企業はインスコイ炭鉱に24億ルーブルを融資する準備がある

掲載日:2024年11月8日

10月25日付現地紙によると、炭鉱労働者への賃金支払いに問題を抱えるケメロヴォ州のインスコイ炭鉱有限会社(2024年10月25日付:シベリア炭鉱労働者が未払賃金のためハンガーストライキを決行https://coal.jogmec.go.jp/info/docs/241025_8.html参照)に対し、中国企業4社が24億ルーブル(約38億円)の資金を供与する用意があると、同社デニス・ネムイキンCEOが伝えた。
 
同氏は「中国企業4社との共同事業に強い関心がある」と述べ、中国企業は石炭採掘再開と新規炭鉱開発にむけたトンネル掘削のために、未払いとなっている賃金債務の返済と運転資金の増強を行う準備があると伝えた。
 
同氏によると「必要な交渉はすべて行われ、資金調達に関する合意にも達した。しかし、中国との陸路国境までの鉄道輸送キャパシティの割り当てが不足しているため本件を実施することができない」と言う。
 
輸出用石炭を東方向けに鉄道輸送するための割当量については、現在西方向けの輸送量に比例して割当量を獲得できることになっている。
 
その結果、「矛盾した状況が生じた。東向きの輸送割当を獲得するために、東向きより価格が低い西方の港に石炭を赤字で販売せざるを得なくなった。石炭は原価割れで出荷されたため、毎月少なくとも7,000万~8,600万ルーブルの資金を調達せざるをえなくなった」と言う。
 
また、インスコイ炭鉱有限責任会社は、破産した企業の資産買収により新設された会社であるため、同じターミナルから出荷されているにも関わらず、以前のオーナーが獲得していた割当量も奪われているという。
 
「経営陣は、東方への割当量を増やすことについて、ケメロヴォ州政府、エネルギー省、ロシア鉄道に繰り返し訴えているがこの問題はまだ解決されていない」と同氏は伝えている。

(石炭開発部 栗林 聖一)

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