台湾:2034年までに石炭火力発電を段階的に廃止へ

掲載日:2024年11月15日

11月8日付地元記事によると、卓榮泰(Cho Jung-tai)行政院委員長(首相に相当)は台中火力発電所を視察した際に、同発電所は予定より1年前倒しで2034年末までに石炭火力発電を段階的に廃止し、天然ガスに移行すると発表した。

同氏は視察中、(1)台湾電力は2034年までに石炭を使用しない電力供給目標に向かって進み続ける、(2)予備石炭火力発電所は国家安全保障と自然災害の必要性がある場合にのみ稼働させる、(3)残りの6基の予備石炭火力発電所の状況は2032年以降に再評価する、という3つの指示を出した。

ガス火力発電転換のスケジュールは第1フェーズ(2026~2028年)にガス火力ユニット2基を追加、石炭火力ユニット2基が解体される。第2フェーズ(2028年~)にガス火力ユニットの追加と石炭火力ユニット2基解体となっている。政府の計画では、既存石炭火力発電所10基のうち4基が解体され、残り6基は国家安全保障上または自然災害の場合にのみバックアップ用として稼働しつつ、2032年に6基がまだ必要か再評価することとなっている。

同氏は、台中発電所は台湾の産業経済発展に大きく貢献してきたと述べつつ、同発電所をガス発電に転換することで、石炭の使用量は現在のレベルの1%未満に抑制され、住民の負担が軽減され、台中の空気の質が改善されると言及した。

なお、石炭火力発電所がバックアップとして維持されることに対し、台中市の盧秀燕(Lu Shiow-yen)市長は、国のエネルギー発電を一つの発電所に集中させる事は攻撃に対してより脆弱になると述べた。

(石炭開発部 宮崎 渉)

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