インドネシア:インドネシアの石炭消費は急増、輸出は減少へ

掲載日:2024年11月22日

2024年11月9日付地元報道によると、インドネシアの石炭消費量は、主に製錬産業の拡大に牽引され、2026年まで大幅な成長を遂げる見通しとのこと。インドネシア・エネルギー鉱物資源省(ESDM)の鉱物・石炭総局は、加工・製錬用の石炭需要が2024年の6,020万トンから、2025年に7,420万トン、2026年には8,420万トンに達すると予測している。この急増により、加工・製錬用の石炭需要は同国の石炭総需要の約34%を占めることになる。

消費量の急増は、エネルギーとして石炭に大きく依存するニッケル製錬所の急成長によるところが大きい。インドネシアが特にニッケルの川下加工を加速させているため、石炭は製錬所の操業に不可欠な要素となっている。

ESDMは、国営電力会社PLN保有の石炭火力発電所(PLTU)における石炭需要の増加、製錬所(その多くが石炭を使用)の建設義務化、活況を呈する住宅部門に関連したセメント需要の増加により、石炭消費は急激な上昇基調にあるとしている。

2024年9月現在、全国の石炭消費量はすでに1億4,597万トンに達しており、通年の需要は約2億2,000万トンと推定される。これに対し、2023年の全国消費量は2億1,200万トン、2022年は2億1,600万トンで、一貫した増加傾向を示している。

2024年から2026年までの需要予測では、PLNは、2024年と2025年にそれぞれ1億3,500万トンの石炭を必要とし、2026年も1億3,600万トンと横ばい、生産工程で石炭に大きく依存するセメント産業は、年間約1,200万トン、肥料業界では、2026年まで年間128万トン前後の需要があると予想される。

他の産業も石炭消費量の大幅な伸びを示している。繊維セクターの需要は急増し、2024年の36万トンから2025年と2026年にはそれぞれ100万トンに増加すると予測、化学産業の石炭需要も2024年の77,000トンから2026年には推定106,000トンに増加すると予測、製紙業界の需要は年間1,100万~1,200万トンで安定的に推移すると予測される。

現在、インドネシアでは54基のニッケル製錬所が操業中で、うち5基はESDMの下で統合され、49基は工業省が監督している。さらに136基の製錬所が建設中または計画中であり、総製錬所 数は推定190基に達する。製錬所はエネルギー需要を石炭火力に依存しているため、この急速な拡大は石炭消費量を大幅に増加させると予想される。

国内需要が増加する一方で、インドネシアの石炭輸出は2026年まで減少する見込みでありESDMは輸出目標を2024年の4億9,000万トンから2025年には4億8,800万トン、2026年には4億8,600万トンに減少すると予測している。

(ジャカルタ事務所)

おことわり:本レポートの内容は、必ずしも独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構としての見解を示すものではありません。正確な情報をお届けするよう最大限の努力を行ってはおりますが、本レポートの内容に誤りのある可能性もあります。本レポートに基づきとられた行動の帰結につき、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構及びレポート執筆者は何らの責めを負いかねます。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。

レポート一覧

Adobe Reader

PDF形式のファイルをご覧いただくには、アドビシステムズ社から無償配布されているAdobe Readerプラグインが必要です。

ページの先頭へ