インドネシア:インドネシア政府、石炭火力発電所の早期閉鎖に向けたロードマップの策定が必要 

掲載日:2024年11月22日

2024年11月6日付地元報道によると、インドネシアはCO2排出削減目標達成のため、石炭火力発電の廃止に向けたロードマップの早期策定を必要としている。基幹サービス改革研究所(IESR)は、石炭火力発電所はCO2排出の主要な原因であり、早期の石炭火力廃止戦略は排出削減を加速させると評価している。

エネルギー・鉱物資源省の高官の一人は、現在、石炭火力発電所の新規建設は凍結されており、既存の発電所においてもバイオマス混焼を通じて排出量削減に努力しているが目標達成には程遠いのが現状としている。同省はバイオマスの生産目標を年間220万トンとしているが、現状60万トンの消費が実現しているにすぎない。今後は更に石炭火力発電所の廃止を進め、同時に再生可能エネルギー開発を積極的に進めることの意義を強調している。

また、同省は石炭火力発電所からのCO2排出削減のために、アンモニア混焼やCO2回収・貯留(CCS)技術の利用に注力しているが、この政策は、電力コスト上昇の可能性、CCS技術の成熟度の低さ、他のニーズ(工業用アンモニア)との競合を考慮する必要があるとも指摘している。

IESRは政府に対し、石炭火力発電所の早期廃止に向けたロードマップを早急に策定する必要性を提言している。第一にインドネシアにおいて石炭火力発電所の廃止が過去一度も実施されていないこと。第二に、国営電力会社PLN、PLN保有の石炭火力発電所及びその労働者などに対する潜在的な悪影響を緩和・分散するための検討が必要なこと。第三に、早期廃止実行のためにインドネシア政府および海外からの資金援助を必要とする石炭火力の資金ニーズと目標を明確にすること。第四に、革新的な解決策を見出すために、政府、金融機関、民間セクター間の協力を強化することを指摘している。

IESRは、エネルギー転換を加速させるためには、2050年まで年間約200億~400億米ドルの投資が必要と分析している。一方、再生可能エネルギーへの年間平均公共投資は、2017年から2023年の期間で20億米ドル以下である。2022年には、民間セクターからの再生可能エネルギー融資は17億米ドルに増加すると見られている。

(ジャカルタ事務所)

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