フランス:コルドメ石炭火力発電所、ストにより始動できず

掲載日:2024年11月29日

11月22日付地元記事によると、仏大手電力会社EDFは今週初め、寒波の中、コルドメ石炭火力発電所(1.2GW)でのストライキにより始動が阻まれたと発表した。一方、労働組合幹部は、ストライキは冬の間中、継続する可能性があると警告した。
 
EDF広報担当者は地元紙に対し「気温が急激に低下したため同社は当該発電所を今週末には稼働させようとしたが、ストライキ発生でできなかった」と語った。
 
CGT労組幹部のファビアン・デシャン氏によると、ストライキは「長期間」継続する見込みでおそらく冬の間中続くだろうという。
 
2024年9月、コルドメ発電所のバイオマス転換計画が中止された後(2024年10月4日付:EDF、コルドメ石炭火力発電所のバイオマス転換を中止、2027年までに閉鎖https://coal.jogmec.go.jp/info/docs/241004_6.html参照)、ストライキ参加者らはEDFに雇用保証を要求し続けている。
 
デシャン氏によると、労働者らは前週、発電所の管理権を取戻し、電力供給停止に係る投票を行ったという。EDFは2024年末まで週5日程度、同発電所をフル稼働させる計画があるにも関わらず、このような事態が発生している。
 
また、フランス国内の原子力発電所は腐食問題により発電量が削減される中、2022年のロシアによるウクライナ侵攻で国内電力供給懸念の高まりを受け、EDFは、非常に高価な石炭を大量に購入しておりいまだ30万トンの石炭が敷地内に残っているという。デシャン氏は「EDFとしてはこの石炭を除去したり売却したりせず燃焼させる事に関心を持っている」と述べた。
 
EDFは今年、コルドメ発電所の電力販売価格を2023年の約140ユーロ/MWhから80~100ユーロ/MWhに引き下げた。EDFの広報担当者は、販売価格は「EDFの全ての生産物と同様に、現在の経済状況を反映しながら定期的に算定し更新されている」と述べた。
 
フランスは2027年までの石炭火力発電閉鎖を目標に掲げているが、国内に残る2つの石炭火力発電所について2024年末まで最大1,800時間、2025年も700時間の稼働を許可している。

(石炭開発部 宮崎 渉)

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