トルコ:企業民営化に対する抗議のため、500名の炭鉱労働者が坑内に残りストを決行

掲載日:2024年11月29日

11月21日付地元記事によると、アンカラの炭鉱で働く約500人の炭鉱労働者が、炭鉱を運営する会社の民営化に関する政府の計画に抗議するため、20日、地下350mに位置する炭鉱坑内に閉じこもって抗議活動を開始した。彼らは炭鉱労働者らが失業するのではないかと懸念している。

抗議活動に参加した炭鉱労働者らはナルハン地区チャイルハン火力発電所の地元出身で、同発電所の敷地内にある炭鉱から発電所向けに一般炭を供給している。

炭鉱労働者らは、約6週間前に浮上した炭鉱会社民営化計画に反対を表明し、2,100人の労働者を雇用する炭鉱内で20日にバリケードを築いた。

トルコ鉱山労働組合チャイルハン支部のセリム・アルスラン書記長は「民営化のための入札条項に現労働者の継続雇用を保証する内容が全く含まれていない」と語った。「炭鉱では坑内に1,300人、地上で800人の労働者が働いている。我々が最も恐れていることは失業することで、入札仕様書には、労働者は4か月以内に宿舎から立ち退かされる、とだけ記されている」とアルスラン氏は語った。

彼は、肯定的な結果が得られるまで労働者は炭鉱を離れないだろうと述べた。炭鉱労働者らは坑内から放送したビデオで必要ならハンガーストライキを行うと発表した。

トルコ鉱山労働組合のヌレッティン・アクチュル代表も「民営化入札仕様に炭鉱労働者の既得権に関する内容が全く含まれていない」と語った。「民営化が炭鉱労働者と地元コミュニティの両方の利益を損なうことは明らかだ。売却後、新所有者らはコスト削減のため労働者の権利を無視する可能性がある。労働者を解雇し、現在の労働力を削減する可能性がある」とアクチュル氏は付け加えた。

現在、エネルギー天然資源省当局者が採掘事業当局者らと協議を行っている。

一方、抗議活動を行う炭鉱労働者らは政党や市民社会団体からの支援を受けている。主要野党の共和人民党(CHP)オズギュル・オゼル党首は21日に炭鉱労働者への支持をXで表明した。「労働を守るために抗議し、抵抗し、ストライキを行っているトルコ全土の労働者を、我々は決して孤立させるつもりはない」とオゼル氏は語った。

アンカラ市長のマンスール・ヤヴァシュ氏もCHP所属で、労働者の抗議活動への支持を示すために炭鉱現場を訪れた。

労働党(TİP)党首エルカン・バシュ氏は20日、火力発電所を訪問、「民営化は安価な労働力、組合の解体、失業を意味する。我々は全国各地で炭鉱労働者が孤独な闘いをしているわけではないことを示すつもりだ」と声明を発表した。

報道によると、民営化入札の最終入札の提出期限は12月4日で、これまでに13社が入札に参加を申し込んでいる。

気候変動政策研究協会(CCPRA)の2022年の報告書によると、チャイルハン火力発電所は1978年に操業開始、1996年に国から民間に移管されたが、ライセンス期限到来により2020年に国に運営権が返還されている。

(石炭開発部 宮崎 渉)

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