米国:共和党系11州、大手資産運用会社3社に対し、石炭減産圧力をかけエネルギー価格を押し上げたとする訴訟を起こす
掲載日:2024年12月6日
11月28日付地元記事によると、27日、テキサス州と共和党主導の他の10州司法長官が、大手資産運用会社BlackRock、Vanguard、State Streetの3社に対する訴訟を起こした。州は、これら大手資産運用会社が、石炭生産を減らしエネルギー価格を押し上げる気候変動対策活動を行った事が独占禁止法違反であると主張している。
訴状では、資産運用会社は、その市場支配力と気候擁護団体への関与を悪用し、石炭会社に対し生産量を削減し、2030年までに石炭からの炭素排出量を50%以上削減するよう圧力をかけ、消費者の光熱費を引き上げていたとされている。各州は訴状の中で「遠く離れた資産運用会社の命令ではなく、競争市場を通じ米国民が支払う電気料金を決定するべきだ」と述べた。
3社の運用資産は26兆ドルを超えている。BlackRockは声明で、同社が石炭生産者に損害を与えるために投資したという指摘に対し「根拠がなく、常識に反する。この訴訟はテキサス州の企業重視の精神に反すると主張し、この申し立てを否定した。またこの措置は消費者のエネルギー需要に不可欠な企業への投資を阻害する」と付け加えた。State Streetも同様に容疑を否定し、株主価値向上に注力していると強調した。Vanguardは直ちに反応はしなかった。
訴訟を起こしたのはテキサス州の他、アラバマ州、アーカンソー州、インディアナ州、アイオワ州、カンザス州、ミズーリ州、モンタナ州、ネブラスカ州、ウェストバージニア州、ワイオミング州の10州でいずれも「Red State」と呼ばれる共和党の強い州となっている。
共和党は長い間、気候関連目標を推進するために投資マネージャー間の共謀疑惑を標的にするために、独占禁止法を利用することを検討してきた。一方、気候変動擁護者は、環境リスクの評価は投資の価値を判断する上で不可欠であると考えている。
また、会員が全ての反トラスト法を遵守していると主張する「Net Zero Asset Managers Initiative(NZAMI)」に参加し、「Climate Action 100+」に加盟しながら石炭会社に改革を迫る状況にしている事に反対してきたことを批判した。2022年にVanguardはNZAMIから脱退し、BlackRock、State Streetは2024年2月にClimate Action 100+から脱退しているが、各州は過去の行動が石炭産業を脅かし続けていると主張している。
また訴状には3社が石炭会社9社に相当数の株式を保有しており、その中には米国最大の上場石炭生産者であるArch ResourcesとPeabody Energy株式をそれぞれ合計34.2%と30.4%保有していたことが指摘されている。更に訴訟ではBlackRockが株主利益を重視すると主張しながら、非ESGファンドを気候変動対策目標推進に利用して、投資家を「積極的に欺いた」と非難している。
訴訟を起こしたテキサス州のケン・パクストン司法長官は声明で、3社は「破壊的で政治化された『環境』アジェンダのために金融業界の違法な武器化」を推進していると非難した。
この訴訟は、投資金を用いて株主決議に投票したり、石炭生産を弱体化させて市場競争を制限する可能性のある他の措置を講じたりするのを阻止する事を目的としている。
訴状では、資産運用会社は、その市場支配力と気候擁護団体への関与を悪用し、石炭会社に対し生産量を削減し、2030年までに石炭からの炭素排出量を50%以上削減するよう圧力をかけ、消費者の光熱費を引き上げていたとされている。各州は訴状の中で「遠く離れた資産運用会社の命令ではなく、競争市場を通じ米国民が支払う電気料金を決定するべきだ」と述べた。
3社の運用資産は26兆ドルを超えている。BlackRockは声明で、同社が石炭生産者に損害を与えるために投資したという指摘に対し「根拠がなく、常識に反する。この訴訟はテキサス州の企業重視の精神に反すると主張し、この申し立てを否定した。またこの措置は消費者のエネルギー需要に不可欠な企業への投資を阻害する」と付け加えた。State Streetも同様に容疑を否定し、株主価値向上に注力していると強調した。Vanguardは直ちに反応はしなかった。
訴訟を起こしたのはテキサス州の他、アラバマ州、アーカンソー州、インディアナ州、アイオワ州、カンザス州、ミズーリ州、モンタナ州、ネブラスカ州、ウェストバージニア州、ワイオミング州の10州でいずれも「Red State」と呼ばれる共和党の強い州となっている。
共和党は長い間、気候関連目標を推進するために投資マネージャー間の共謀疑惑を標的にするために、独占禁止法を利用することを検討してきた。一方、気候変動擁護者は、環境リスクの評価は投資の価値を判断する上で不可欠であると考えている。
また、会員が全ての反トラスト法を遵守していると主張する「Net Zero Asset Managers Initiative(NZAMI)」に参加し、「Climate Action 100+」に加盟しながら石炭会社に改革を迫る状況にしている事に反対してきたことを批判した。2022年にVanguardはNZAMIから脱退し、BlackRock、State Streetは2024年2月にClimate Action 100+から脱退しているが、各州は過去の行動が石炭産業を脅かし続けていると主張している。
また訴状には3社が石炭会社9社に相当数の株式を保有しており、その中には米国最大の上場石炭生産者であるArch ResourcesとPeabody Energy株式をそれぞれ合計34.2%と30.4%保有していたことが指摘されている。更に訴訟ではBlackRockが株主利益を重視すると主張しながら、非ESGファンドを気候変動対策目標推進に利用して、投資家を「積極的に欺いた」と非難している。
訴訟を起こしたテキサス州のケン・パクストン司法長官は声明で、3社は「破壊的で政治化された『環境』アジェンダのために金融業界の違法な武器化」を推進していると非難した。
この訴訟は、投資金を用いて株主決議に投票したり、石炭生産を弱体化させて市場競争を制限する可能性のある他の措置を講じたりするのを阻止する事を目的としている。
(石炭開発部 宮崎 渉)
おことわり:本レポートの内容は、必ずしも独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構としての見解を示すものではありません。正確な情報をお届けするよう最大限の努力を行ってはおりますが、本レポートの内容に誤りのある可能性もあります。本レポートに基づきとられた行動の帰結につき、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構及びレポート執筆者は何らの責めを負いかねます。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。