世界:米国検察庁、印財閥アダニ氏に対し贈賄の罪で起訴、アダニ関連プロジェクトの見直しが進む
掲載日:2024年12月6日
11月20~26日付各種報道によると、19日米国検察庁は、インドのコングロマリット企業グループであるアダニ・グループ創業者ゴータム・アダニ会長に対し、インドでの大規模太陽光発電事業における贈賄や巨額詐欺の疑いで起訴した。訴状では、アダニ会長と傘下の再生可能エネルギー会社アダニ・グリーン・エナジー(AGE社)の経営幹部が2020~2024年にかけ太陽光エネルギー事業契約獲得のため共謀してインド政府に2億5,000万ドル超の賄賂を支払ったとしている。またAGE社は、この期間中に虚偽や誤解を招く内容を含む説明資料に基づくローンや起債を通じて30億ドル強を調達したという。また米国証券取引所(SEC)も同じ容疑で民事訴訟を起こした。一方、アダニ・グループは根拠がないとしてあらゆる法的手段を用いて反論すると発表した。
なお、今回の起訴を受け、世界中で展開されるアダニ関連プロジェクトが見直される動きが出ている。太陽光事業の共同事業者である仏Total Energies社は25日、起訴を知らなかったとしてAGE社への追加投資を停止すると発表した。またケニアのルト大統領は、25日アダニ・グループが同国で進めていた空港拡張事業、電力網整備事業を中止すると発表、スリランカもディサナヤケ新政権の初閣議でアダニ・グループが実施している風力発電事業、コロンボ港湾事業を見直しについて財務省、外務省に指示している。
同様に、24日、バングラディシュ暫定政府はハシナ前政権がアダニ・グループと締結した電力協定を再検討すると発表した。暫定政権が設置した検討委員会により2009~2024年に締結した主要な電力協定の全てを精査するもので、協定の1つにアダニ・グループとのゴッダ(Godda)発電所からの電力協定が含まれている。
ゴッダ発電所は10月以降、バングラディシュ側の債務未払で電力供給が一部停止され問題となっている(2024年11月15日付:アダニ・パワー社による電力供給停止問題https://coal.jogmec.go.jp/info/docs/241115_2.html参照)。元々、ゴッダ火力発電所は、その契約価格が市場価格より高額であると論争の的となっており、背景の政治的関係も疑われていた。今年8月にインド電力省は近隣諸国へ電力供給と意図した電力を国内発電所に売り戻すことを認めるという規則改正を行った。これはゴッダ発電所が海外に販売する唯一の発電所であったことから、直前に起きたバングラディシュでの政治的混乱からアダニ・パワー社を保護するための措置ではないかと一部でみられていた。
また今回の起訴はインド連邦議会も空転させている。かねてより野党はグジャラート州出身のモディ首相が同じ出身のアダニ氏を贔屓していると批判しており、今回の訴追について議会での審議を求めた。しかし議長が法規則に則っておらず認めなかったため審議を求めた議員による妨害を受け、上院、下院とも流会となっている。
なお、今回の起訴を受け、世界中で展開されるアダニ関連プロジェクトが見直される動きが出ている。太陽光事業の共同事業者である仏Total Energies社は25日、起訴を知らなかったとしてAGE社への追加投資を停止すると発表した。またケニアのルト大統領は、25日アダニ・グループが同国で進めていた空港拡張事業、電力網整備事業を中止すると発表、スリランカもディサナヤケ新政権の初閣議でアダニ・グループが実施している風力発電事業、コロンボ港湾事業を見直しについて財務省、外務省に指示している。
同様に、24日、バングラディシュ暫定政府はハシナ前政権がアダニ・グループと締結した電力協定を再検討すると発表した。暫定政権が設置した検討委員会により2009~2024年に締結した主要な電力協定の全てを精査するもので、協定の1つにアダニ・グループとのゴッダ(Godda)発電所からの電力協定が含まれている。
ゴッダ発電所は10月以降、バングラディシュ側の債務未払で電力供給が一部停止され問題となっている(2024年11月15日付:アダニ・パワー社による電力供給停止問題https://coal.jogmec.go.jp/info/docs/241115_2.html参照)。元々、ゴッダ火力発電所は、その契約価格が市場価格より高額であると論争の的となっており、背景の政治的関係も疑われていた。今年8月にインド電力省は近隣諸国へ電力供給と意図した電力を国内発電所に売り戻すことを認めるという規則改正を行った。これはゴッダ発電所が海外に販売する唯一の発電所であったことから、直前に起きたバングラディシュでの政治的混乱からアダニ・パワー社を保護するための措置ではないかと一部でみられていた。
また今回の起訴はインド連邦議会も空転させている。かねてより野党はグジャラート州出身のモディ首相が同じ出身のアダニ氏を贔屓していると批判しており、今回の訴追について議会での審議を求めた。しかし議長が法規則に則っておらず認めなかったため審議を求めた議員による妨害を受け、上院、下院とも流会となっている。
(石炭開発部 宮崎 渉)
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