コロンビア:税制改革案の不承認を鉱業セクターは歓迎

掲載日:2024年12月20日

12月12日付現地紙によると、コロンビア共和国議会は、Gustavo Petro大統領政権の第2次税制改革を中止することを決定したが、鉱業セクターの企業及び関係者はこのニュースを肯定的に受け止めている。

これは、中央政府が徴収しようとしていた9.8兆ペソ(約3,425億円)の大部分が、国内で操業する石炭・石油会社が支払う割増所得税から徴収することが見込まれていたためである。

コロンビア鉱業協会 (ACM) のJuan Camilo Nariño会長は、この税制改革は中期的に石炭会社の持続可能性を損なう重大な影響を招くと警戒していた。

中央政府の意図は、石炭会社に対して上限20%の所得税率の上乗せを行うことであり、これが加算されれば、世界の石炭生産会社の所得税率平均が25%であるのに対し、コロンビアの所得税率は55%にまで上がることになる。

Nariño会長は、税制改革法案を否決するというコロンビア共和国議会の決定により、鉱業セクターのリスクと不確実性は取り除かれた。しかし、中央政府にはさまざまな公共政策があり、業界を取り巻くすべての懸念が消えたわけではない、と述べた。

例えば、鉱業法改正、Ecominerales(国営鉱山会社)創設法案、そして「コロンビアが投資を必要とする数年間の投資に疑問や不確実性を生じさせる多くの政令」などである。

同氏はまた、今回の税制改革は地域の雇用機会や生産性の拡大にはつながらず、むしろその逆であるとし、石炭・石油会社への所得税の引き上げは国民が支払うガソリンの価格を上昇させ、インフレを加速させることになると述べた。

さらに同氏は、コロンビアの石炭生産によって生み出される資金を他の経済セクターが生み出すことはできず、具体的な転換計画がないのに中央政府が石炭企業に同国からの撤退を要求するのは「極めて無責任」であると強調した。

ACM会長は、2025年に向けて、ニッケルと石炭の価格低下が予想され、最終的には国内で石炭鉱業会社から国民が間接的に受け取る収益にも影響を与えるだろうと伝えた。

(リマ事務所 初谷 和則)

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