ウクライナ:モルドバ沿ドニエステル地域への石炭供与打診が拒否される
掲載日:2025年1月31日
1月26日付地元報道によると、ウクライナ・ゼレンスキー大統領は、改めてモルドバ・サンドゥ大統領との共同記者会見の場で、沿ドニエステル地域の分離独立派指導者に対し、石炭供給と専門家派遣を打診した。同大統領は以前も同地域に対する石炭供給の姿勢を示していた(2025年1月17日付:ウクライナ政府、モルドバへの石炭供給支援の姿勢を示すhttps://coal.jogmec.go.jp/info/docs/250117_4.html参照)。
ゼレンスキー大統領は、ウクライナは(国内で不足する)余剰電力提供と引き換えに、手頃な価格、あるいは無料で石炭を提供すると述べた。ウクライナ大統領の推定によれば、モルドバでは電気の最終消費者価格は約30%下がるだろうという。
これに対し、沿ドニエステル地域指導者ワディム・クラスノセルスキー氏は、この申し出を「投機的な選択肢である」として無視した。同氏は、現在域内の2基の石炭火力発電所は技術的に無煙炭を燃料としており、ウクライナ側はコークス炭を提案していると主張した。また1基はウクライナ産の石炭で稼働できるよう改造することはできるが、通常の条件では改造に1年以上を要し、5,000万ユーロの費用がかかるとしている。
ゼレンスキー大統領は、提供する石炭は適切な炭種(無煙炭)であり、これまで沿ドニエステル地域に送られてきた石炭もロシアが占領地から盗んだウクライナ産の石炭であると発言している。
モルドバ沿ドニエステル地域は「沿ドニエステル共和国」を宣言し、現在ロシアの支援を受けた独立分離派が実効支配しており、国際的には未承認国家扱いとなっている。地元報道によると沿ドニエステル指導部にとって今回のウクライナの提案を受け入れる選択をすれば、モスクワを怒らせロシア連邦加盟という希望が無期限に延期されてしまうと考えているという。
2025年1月、ウクライナ経由でのロシア産ガス供給が停止して以降、沿ドニエステル地域内でエネルギー危機が続いている。ガス備蓄は1月中に枯渇し、火力発電所の石炭は遅くとも2月16~17日までは持つとされている。
27日、EUはモルドバに対する3,000万ユーロの緊急支援を発表、これによりモルドバ政府も沿ドニエステル地域のエネルギー危機への一時的な解決策として300万m3の天然ガスを供給すると発表した。
ゼレンスキー大統領は、ウクライナは(国内で不足する)余剰電力提供と引き換えに、手頃な価格、あるいは無料で石炭を提供すると述べた。ウクライナ大統領の推定によれば、モルドバでは電気の最終消費者価格は約30%下がるだろうという。
これに対し、沿ドニエステル地域指導者ワディム・クラスノセルスキー氏は、この申し出を「投機的な選択肢である」として無視した。同氏は、現在域内の2基の石炭火力発電所は技術的に無煙炭を燃料としており、ウクライナ側はコークス炭を提案していると主張した。また1基はウクライナ産の石炭で稼働できるよう改造することはできるが、通常の条件では改造に1年以上を要し、5,000万ユーロの費用がかかるとしている。
ゼレンスキー大統領は、提供する石炭は適切な炭種(無煙炭)であり、これまで沿ドニエステル地域に送られてきた石炭もロシアが占領地から盗んだウクライナ産の石炭であると発言している。
モルドバ沿ドニエステル地域は「沿ドニエステル共和国」を宣言し、現在ロシアの支援を受けた独立分離派が実効支配しており、国際的には未承認国家扱いとなっている。地元報道によると沿ドニエステル指導部にとって今回のウクライナの提案を受け入れる選択をすれば、モスクワを怒らせロシア連邦加盟という希望が無期限に延期されてしまうと考えているという。
2025年1月、ウクライナ経由でのロシア産ガス供給が停止して以降、沿ドニエステル地域内でエネルギー危機が続いている。ガス備蓄は1月中に枯渇し、火力発電所の石炭は遅くとも2月16~17日までは持つとされている。
27日、EUはモルドバに対する3,000万ユーロの緊急支援を発表、これによりモルドバ政府も沿ドニエステル地域のエネルギー危機への一時的な解決策として300万m3の天然ガスを供給すると発表した。
(石炭開発部 宮崎 渉)
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