カナダ:サスカチュワン州政府、石炭火力発電所の寿命延長を検討

掲載日:2025年1月31日

1月23日付地元報道によると、サスカチュワン州モー首相はSNSの投稿で、州政府が州内の石炭火力発電所の寿命を延ばす事を慎重に検討中であると述べた。
 
投稿記事によると、州政府は原子力発電所増設への取り組みを継続する一方、今後州が10年以上の成長を続けていくのに必要なベースロード電力供給のため、既存石炭火力発電所の寿命延長を綿密に検討していると述べた。また、ジェレミー・ハリソン州電力大臣はこの方針を踏まえ、同州エステバン近郊のバウンダリーダム発電所やコロナック近郊のポプラ・リバー発電所等の石炭火力発電所の運転寿命を延長する事を含めた発電計画を州営電力会社のSask Power社に作成するよう指示したという。
 
カナダ連邦政府は、2016年にトルドー政権により排出削減措置のない石炭火力発電所を2030年までに全て閉鎖する関連規則を施行している。また再生可能エネルギー送電網導入を2030年までとするクリーン電力規制も導入したが、先月2050年に延期されている。モー首相はこれまでも連邦規制が州の権限を侵害するものであると批判してきており「発電の将来に関する我々の決定は、違憲の連邦規制ではなく、サスカチュワン州の家族と経済にとって何が最善かだけに基づいて行われることになるだろう」と述べた。
 
また、モー首相は以前、法定目標年の2035年以降も石炭火力を使用し続けると言及したことがあり(2023年6月23日付:SK州首相、連邦法定目標の2035年を過ぎても天然ガス火力・石炭火力を使用し続けると主張https://coal.jogmec.go.jp/info/docs/230623_6.html参照)、今回改めて表明した形となる。
 
レジャイナ大学のドルター教授は、今回の州の動きは殆ど意味がないと言及し「オンタリオ州やアルバータ州は段階的に石炭を廃止した。ノバスコシア州、ニューブランズウィック州も2030年までの段階的廃止の方向で動いている。我々の州は石炭を燃焼させる唯一の州となるだろうが、そのようなのけ者の立場に居たいとは思わない」と語った。

(石炭開発部 宮崎 渉)

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