ドイツ:Steag社、予備用電源補償増額を求め、連邦ネットワーク庁に対し訴え
掲載日:2025年2月28日
2月24日付地元報道によると、ドイツ電力会社Steag社は予備用石炭火力発電所に対する補償が不十分であるとして連邦ネットワーク庁に訴訟を検討しているという。
Steag社のライヒェルCEOは「2月末までにデュッセルドルフ高等地方裁判所に訴状を提出する」と地元紙に語り「訴訟は連邦ネットワーク庁に対し起こされたもので、我々は費用の返済だけでなく、公正な補償を求めている」と述べた。同氏はエネルギー産業法に基づく訴訟であるという。
かつてドイツ最大の石炭火力発電会社だったSteag社は現在、6つの石炭火力発電所が現在の容量リザーブ規制の影響を受けている。これらは当初廃止予定だったが連邦ネットワーク庁により予備用電源として分類された。これは必要に応じて電力網を安定させるために常時稼働が要請されるため同氏は「これらは完全な労働力を含めた完全な運用準備を維持する必要がある。しかし現在の制度では費用の払戻しはされても追加の企業利益がなく、これは公平でもなければ賢明でもない」と不満を述べた。
そこで同氏はエネルギー転換をより効率的にするため、滅多に使用されないがシステム上重要である予備用石炭火力発電所をもっと頻繁に利用するという別の提案をしている。同氏は「この提案はより賢明なエネルギー政策である。これらの発電所は、電力網を安定させるために電力を生産するだけでなく、電力市場の価格高騰を抑制させるためにも許可されるべきである」と主張している。
現在、予備用発電所は市場参加が禁止されていたため、最近発生した「Dunkelflaute」(暗い凪:風力・太陽光発電の発電量が少ない寒い時期)の時期には、理論上利用可能な既設発電所は全てオンラインで発電された訳ではなかった。そのため電気料金が高騰し、12月初旬には電力卸売価格は約1,000ユーロ/MWhまで急騰した。
同氏によると「例えば、前日の電力価格が3時間以上150ユーロ/1MWh超となった場合に予備発電所を一時的に稼働させること」を提案している。これは関係者全てにとって有益であり「消費者は電気料金の低下から恩恵を受け、発電所運営者は収入を得られ、その収入は例えば計画中の新たな水素対応予備ガス発電所に再投資することが可能である」と同氏は主張した。
なお、同氏は、訴訟とは無関係に、予備用発電所の運用の柔軟性を高めるのは総選挙後に発足する新政府の責任であると述べ、既に各党のエネルギー政策担当者らと提案について協議し前向きな反応を得ているという。また政府が発電所安全法を議会で可決できなかった事を理由に「連立協定にある2030年までの石炭火力段階的廃止という目標はもはや現実的ではないことは明らかである」と述べた(2024年12月20日付:早期石炭火力廃止の前提となる水素対応ガス火力発電所の大規模拡張計画を断念https://coal.jogmec.go.jp/info/docs/241220_4.html参照)。更に、新たなガス及び水素発電所の規制枠組みは2026年半ばまでは整備されないと予想しており、その結果、新しい発電所の最初のものは2032年以前には稼働しない可能性が高く、石炭火力の段階的廃止はさらに遅れることになるとみている。同氏は「ドイツの送電網の安定性とエネルギー安全保障の両方を確保するには、既存石炭火力発電所を2030年代半ばまで稼働させ続ける必要があるだろう」と述べ「政府はこの現実を認識している」という。
Steag社のライヒェルCEOは「2月末までにデュッセルドルフ高等地方裁判所に訴状を提出する」と地元紙に語り「訴訟は連邦ネットワーク庁に対し起こされたもので、我々は費用の返済だけでなく、公正な補償を求めている」と述べた。同氏はエネルギー産業法に基づく訴訟であるという。
かつてドイツ最大の石炭火力発電会社だったSteag社は現在、6つの石炭火力発電所が現在の容量リザーブ規制の影響を受けている。これらは当初廃止予定だったが連邦ネットワーク庁により予備用電源として分類された。これは必要に応じて電力網を安定させるために常時稼働が要請されるため同氏は「これらは完全な労働力を含めた完全な運用準備を維持する必要がある。しかし現在の制度では費用の払戻しはされても追加の企業利益がなく、これは公平でもなければ賢明でもない」と不満を述べた。
そこで同氏はエネルギー転換をより効率的にするため、滅多に使用されないがシステム上重要である予備用石炭火力発電所をもっと頻繁に利用するという別の提案をしている。同氏は「この提案はより賢明なエネルギー政策である。これらの発電所は、電力網を安定させるために電力を生産するだけでなく、電力市場の価格高騰を抑制させるためにも許可されるべきである」と主張している。
現在、予備用発電所は市場参加が禁止されていたため、最近発生した「Dunkelflaute」(暗い凪:風力・太陽光発電の発電量が少ない寒い時期)の時期には、理論上利用可能な既設発電所は全てオンラインで発電された訳ではなかった。そのため電気料金が高騰し、12月初旬には電力卸売価格は約1,000ユーロ/MWhまで急騰した。
同氏によると「例えば、前日の電力価格が3時間以上150ユーロ/1MWh超となった場合に予備発電所を一時的に稼働させること」を提案している。これは関係者全てにとって有益であり「消費者は電気料金の低下から恩恵を受け、発電所運営者は収入を得られ、その収入は例えば計画中の新たな水素対応予備ガス発電所に再投資することが可能である」と同氏は主張した。
なお、同氏は、訴訟とは無関係に、予備用発電所の運用の柔軟性を高めるのは総選挙後に発足する新政府の責任であると述べ、既に各党のエネルギー政策担当者らと提案について協議し前向きな反応を得ているという。また政府が発電所安全法を議会で可決できなかった事を理由に「連立協定にある2030年までの石炭火力段階的廃止という目標はもはや現実的ではないことは明らかである」と述べた(2024年12月20日付:早期石炭火力廃止の前提となる水素対応ガス火力発電所の大規模拡張計画を断念https://coal.jogmec.go.jp/info/docs/241220_4.html参照)。更に、新たなガス及び水素発電所の規制枠組みは2026年半ばまでは整備されないと予想しており、その結果、新しい発電所の最初のものは2032年以前には稼働しない可能性が高く、石炭火力の段階的廃止はさらに遅れることになるとみている。同氏は「ドイツの送電網の安定性とエネルギー安全保障の両方を確保するには、既存石炭火力発電所を2030年代半ばまで稼働させ続ける必要があるだろう」と述べ「政府はこの現実を認識している」という。
(石炭開発部 宮崎 渉)
おことわり:本レポートの内容は、必ずしも独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構としての見解を示すものではありません。正確な情報をお届けするよう最大限の努力を行ってはおりますが、本レポートの内容に誤りのある可能性もあります。本レポートに基づきとられた行動の帰結につき、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構及びレポート執筆者は何らの責めを負いかねます。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。