インドネシア:インドネシア政府、石炭輸出における「石炭指標価格(HBA)」の使用義務化
掲載日:2025年3月6日
2025年2月25~3月3日における政府発表、地元報道によると、インドネシアエネルギー・鉱物資源省(ESDM)は2月26日付で「金属鉱物・石炭商品販売のための基準価格決定のためのガイドラインに関する省令」(第72.K/MB.01/MEM.B/2025号)を、3月1日付で「2025年3月第一期の基準金属鉱物価格及び基準石炭価格に関する省令」(第80.K/MB.01/MEM.B/2025)を発布し、同日付で施行された。これによりインドネシアから石炭輸出を行う際、上流権益企業は参照価格として半月に1度改定されるHBAの使用が義務付けられることとなった。この動きは2月以降、バフリル(Bahlil)エネルギー・鉱物資源大臣により発言されていたが、その内容を正式に導入したものとなっている。
(2025年2月7日付:「エネルギー・鉱物資源大臣、HBAを使用しない石炭輸出業者の輸出許可書の取り消しを警告」https://coal.jogmec.go.jp/info/docs/250207_3.html参照)
(2025年2月21日付:「インドネシア政府、輸出取引においてインドネシアの石炭指標価格(HBA)の使用を義務付ける方針を固める」https://coal.jogmec.go.jp/info/docs/250221_4.html参照)
今回の主な内容は以下の通り
・鉱業事業許可(IUP)保有者、特別鉱業事業許可(IUPK)保有者、鉱業事業契約(KK)保有者、石炭鉱業事業契約(CCOW)保有者を対象とし、石炭の生産・販売を行う者はHBAに基づき算定される石炭基準価格(HPB)を販売価格の下限値として参照することが義務付けられる。
・HBAは以下の式に基づき1日、15日の月2回公表される。
<HBAの新算出方式>
HBA(1日発表分):(0.7 * X1) + (0.3 * X2) [USドル/トン]
X1 = 直近2ヶ月前の第4週から直近の月の第1週までの平均価格
X2 = 直近の2ヶ月前の第2週から第3週までの平均価格
HBA(15日発表分):(0.7 * X1) + (0.3 * X2) [USドル/トン]
X1 = 前月の第2週から第3週までの平均価格
X2 = 2か月前の第4週から前月の第1週までの平均価格
※従来は月1回改定(2023年3月30日付:「インドネシア政府、石炭指標価格を決定するため算定式を正式に改定」https://coal.jogmec.go.jp/info/docs/230330_2.html参照)
・HBAは品位に応じ4区分(HBA、HBAI 、HBA2 、HBA3)があり、3月1日付で公表されたHBA価格は以下の通り。

・HPB算定式は以下の通り。単位:US$/トン

k=発熱量(kcal/kg GAR)/TM=総水分(%)/TS=総硫黄分(%)/ASH=灰分(%)/FKA=石炭水分補正係数
今回公表された値は従来石炭輸出で参照されていたIndonesia Coal Index(ICI)と比べても高くなるとされ、ESDMのアナウンスから数日と導入まで間がない事から国内外の関係者の混乱を招いている。
国内業界団体のインドネシア鉱業協会(IMA)、インドネシア石炭鉱業協会(APBI)、鉱物・石炭エネルギー供給者協会(Aspebindo)は各々少なくとも移行期間として6ヶ月が必要であると述べている。またインドネシア最大の輸出先である中国のバイヤーは今回の変更に抗議の姿勢を示し、長期契約のキャンセルや再交渉を試みる可能性が報じられている。
なお3月4日、ESDMのトリ・ウィナルノ(Tri Winarno)鉱物・石炭局長は、今回の措置に従わない輸出業者に対し、将来特別制裁を科すことについて言及した。
<添付>2省令を仮和訳
(2025年2月7日付:「エネルギー・鉱物資源大臣、HBAを使用しない石炭輸出業者の輸出許可書の取り消しを警告」https://coal.jogmec.go.jp/info/docs/250207_3.html参照)
(2025年2月21日付:「インドネシア政府、輸出取引においてインドネシアの石炭指標価格(HBA)の使用を義務付ける方針を固める」https://coal.jogmec.go.jp/info/docs/250221_4.html参照)
今回の主な内容は以下の通り
・鉱業事業許可(IUP)保有者、特別鉱業事業許可(IUPK)保有者、鉱業事業契約(KK)保有者、石炭鉱業事業契約(CCOW)保有者を対象とし、石炭の生産・販売を行う者はHBAに基づき算定される石炭基準価格(HPB)を販売価格の下限値として参照することが義務付けられる。
・HBAは以下の式に基づき1日、15日の月2回公表される。
<HBAの新算出方式>
HBA(1日発表分):(0.7 * X1) + (0.3 * X2) [USドル/トン]
X1 = 直近2ヶ月前の第4週から直近の月の第1週までの平均価格
X2 = 直近の2ヶ月前の第2週から第3週までの平均価格
HBA(15日発表分):(0.7 * X1) + (0.3 * X2) [USドル/トン]
X1 = 前月の第2週から第3週までの平均価格
X2 = 2か月前の第4週から前月の第1週までの平均価格
※従来は月1回改定(2023年3月30日付:「インドネシア政府、石炭指標価格を決定するため算定式を正式に改定」https://coal.jogmec.go.jp/info/docs/230330_2.html参照)
・HBAは品位に応じ4区分(HBA、HBAI 、HBA2 、HBA3)があり、3月1日付で公表されたHBA価格は以下の通り。

・HPB算定式は以下の通り。単位:US$/トン

k=発熱量(kcal/kg GAR)/TM=総水分(%)/TS=総硫黄分(%)/ASH=灰分(%)/FKA=石炭水分補正係数
今回公表された値は従来石炭輸出で参照されていたIndonesia Coal Index(ICI)と比べても高くなるとされ、ESDMのアナウンスから数日と導入まで間がない事から国内外の関係者の混乱を招いている。
国内業界団体のインドネシア鉱業協会(IMA)、インドネシア石炭鉱業協会(APBI)、鉱物・石炭エネルギー供給者協会(Aspebindo)は各々少なくとも移行期間として6ヶ月が必要であると述べている。またインドネシア最大の輸出先である中国のバイヤーは今回の変更に抗議の姿勢を示し、長期契約のキャンセルや再交渉を試みる可能性が報じられている。
なお3月4日、ESDMのトリ・ウィナルノ(Tri Winarno)鉱物・石炭局長は、今回の措置に従わない輸出業者に対し、将来特別制裁を科すことについて言及した。
<添付>2省令を仮和訳
- 「金属鉱物・石炭商品販売のための基準価格決定のためのガイドラインに関する省令」(第72.K/MB.01/MEM.B/2025号)https://coal.jogmec.go.jp/content/300393665.pdf
- 「2025年3月第一期の基準金属鉱物価格及び基準石炭価格に関する省令」(第80.K/MB.01/MEM.B/2025)https://coal.jogmec.go.jp/content/300393630.pdf
(ジャカルタ事務所、石炭開発部 宮崎 渉)
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