インドネシア:インドネシア政府は政府系ファンドの投資先としてDME事業を選定

掲載日:2025年3月14日

2025年3月5日付地元報道によると、インドネシア政府は3月に発足した政府系ファンドDaya Anagata Nusantara (Danantara)の投資先事業として石炭ガス化によるDMEを選定した。

DME事業は高価格な輸入LPGの代替を目的とし製品価値の低い低カロリー炭をガス化するものであり、同事業は国営石炭会社PT Bukit Asam Tbk (PTBA)と米国企業Air Products & Chemicals Inc(APCI))という外資との共同事業として開始されたが、APCIが米国内の水素開発事業に軸足を移したことによりインドネシア事業から2023年3月に撤退し、頓挫していた。PTBAとのDME事業に対するAPCIの投資予定額は、210兆ルピア(約128億米ドル)であり、APCI撤退までの投資額は102兆ルピア(約62億米ドル)に達していた。

計画では南スマトラ州Tanjung にてDMEプロジェクトを立ち上げ、2027年第4四半期または末に商業運転を開始し、600万トンの石炭(4,200カロリー)から年間140万トンのDMEを生産する予定であった。本計画が頓挫した後、中国からの投資提案があったが実現には至っていない。

今回DME事業を実現させるためには、海外からの技術が必要であるものの、原料及び需要先はすべて国内で賄っており、資金面に関しては新しく発足したDanantaraの資金を活用することにより今後は外国企業の投資に依存する必要が無くなることとなる。エネルギー鉱物資源省の鉱物・石炭局長によるとこれらのプロジェクトに割り当てられる投資総額は1,100万米ドルにのぼり、4つのDME事業に資金を提供する予定としている。今後DME事業は国内4ヵ所で同時並行的に実施される予定でその地域は、南スマトラのMuara Enim及び Ogan Komering Ilir 、南カリマンタンのTanah Bumbu、東カリマンタンの Kutai Timurである。DanantaraはDME事業に加え今後 鉄鋼事業1件、アルミナプロジェクト1件、アルミニウムプロジェクト1件、銅プロジェクト2件、ニッケルプロジェクト1件を投資先として検討している。

(ジャカルタ事務所)

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