南アフリカ: 電源総合資源計画(IRP)改定版に石炭火力発電所閉鎖の10年間延期が含まれる事が示唆
掲載日:2025年3月21日
3月14日付報道によると、ラモコパ電力・エネルギー大臣は、電源総合資源計画(IRP)改定版において、特定の石炭火力発電所の閉鎖を10年間延期する内容が含まれる事について、これまでで最も強く示唆した。これは2月20日、エネルギー・電力ポートフォリオ委員会の委員からの質問に答える形で報じられた。同大臣は現在IRP改定版である「IRP2024」が国家経済開発労働評議会で審議されており、これが「迅速に」進むことを望むと語り、その内容の先取りはできないとしながらも、社会経済的影響評価と電力供給の安全性に関する調査結果を考慮し、石炭火力発電所停止の延期が含まれるとコメントした(2024年12月13日付:電源総合資源計画(IRP)改定案の公表https://coal.jogmec.go.jp/info/docs/241213_5.html参照)。
同大臣によると、社会経済的影響評価では現行2019年原子力計画に含まれる廃止スケジュールに従って発電所が閉鎖された場合、ムプマランガ州において数万人の直接間接な雇用削減を含む大きな経済的影響が出ると指摘されており、電力供給調査でも調整可能な石炭火力発電所を完全に置き換えるために必要な再生可能エネルギー発電が必要なペースで配備されてない事が確認されたという。
同大臣は10年間延長される発電所の名前を挙げなかったが、2024年11月発表のIRP2024選択肢草案の中に、石炭火力発電所を50年から60年に延長したケースがあり、ケンダル(Kendal)、マジュバ(Majuba)、レタボ(Lethabo)、マティンバ(Matimba)、トゥトゥカ(Turuka)が稼働を継続するとされている。この草案の60年間シナリオでは、石炭火力の発電量は現在推定されているように2030年代半ばまでは10GW減少することはなく、むしろ石炭火力発電容量は2042年まで安定維持されて15GWが廃止される。ただし60年間延長の選択肢は、参考例でも提示されておらず、炭素及び粒子状物質の排出量が増加する事が触れられている。
Eskom社は既に石炭火力発電所を最低排出基準(MES)免除の下で操業しており、MESを完全に遵守するには3,000億ランドの投資が必要と以前に示唆していた。2024年には同社は既存のMES発電所制限により、即時廃止が予定されていた老朽発電所5カ所(ヘンドリナ(Hendrina)、グルートフレイ(Grootvlei)、アルノット(Arnot)、カムデン(Camden)、クリエル(Kriel))を2030年3月31日まで稼働させる許可も取得している。しかしこの政府決定に対しては現在訴訟が継続されている。
ラモコパ氏は、議員らに対し日本で商業化されているアンモニア混焼技術に触れ、費用対効果の高い技術的解決策が見つかると確信していると語った。同氏は解決策の調査のため、2024年12月には日本を訪問、2月のアフリカン・マイニング・インダバ2025では日本の技術プロバイダーとさらに協議したと述べた。
最終的なIRPに石炭火力発電所閉鎖の延期が選択肢として盛り込まれた場合、南アフリカの脱炭素化ロードマップに影響し、2025年中に国連に提出予定の「国が決定する貢献(NDC)」にも反映させる必要がある。また、南アフリカの石炭からの移行資金を支援する国際枠組みの「公正エネルギー移行パートナーシップ(JETP)」の資金提供の行方にも影響を及ぼす可能性がある。
同大臣によると、社会経済的影響評価では現行2019年原子力計画に含まれる廃止スケジュールに従って発電所が閉鎖された場合、ムプマランガ州において数万人の直接間接な雇用削減を含む大きな経済的影響が出ると指摘されており、電力供給調査でも調整可能な石炭火力発電所を完全に置き換えるために必要な再生可能エネルギー発電が必要なペースで配備されてない事が確認されたという。
同大臣は10年間延長される発電所の名前を挙げなかったが、2024年11月発表のIRP2024選択肢草案の中に、石炭火力発電所を50年から60年に延長したケースがあり、ケンダル(Kendal)、マジュバ(Majuba)、レタボ(Lethabo)、マティンバ(Matimba)、トゥトゥカ(Turuka)が稼働を継続するとされている。この草案の60年間シナリオでは、石炭火力の発電量は現在推定されているように2030年代半ばまでは10GW減少することはなく、むしろ石炭火力発電容量は2042年まで安定維持されて15GWが廃止される。ただし60年間延長の選択肢は、参考例でも提示されておらず、炭素及び粒子状物質の排出量が増加する事が触れられている。
Eskom社は既に石炭火力発電所を最低排出基準(MES)免除の下で操業しており、MESを完全に遵守するには3,000億ランドの投資が必要と以前に示唆していた。2024年には同社は既存のMES発電所制限により、即時廃止が予定されていた老朽発電所5カ所(ヘンドリナ(Hendrina)、グルートフレイ(Grootvlei)、アルノット(Arnot)、カムデン(Camden)、クリエル(Kriel))を2030年3月31日まで稼働させる許可も取得している。しかしこの政府決定に対しては現在訴訟が継続されている。
ラモコパ氏は、議員らに対し日本で商業化されているアンモニア混焼技術に触れ、費用対効果の高い技術的解決策が見つかると確信していると語った。同氏は解決策の調査のため、2024年12月には日本を訪問、2月のアフリカン・マイニング・インダバ2025では日本の技術プロバイダーとさらに協議したと述べた。
最終的なIRPに石炭火力発電所閉鎖の延期が選択肢として盛り込まれた場合、南アフリカの脱炭素化ロードマップに影響し、2025年中に国連に提出予定の「国が決定する貢献(NDC)」にも反映させる必要がある。また、南アフリカの石炭からの移行資金を支援する国際枠組みの「公正エネルギー移行パートナーシップ(JETP)」の資金提供の行方にも影響を及ぼす可能性がある。
(石炭開発部 宮崎 渉)
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