米国：中国船舶向け課税計画により石炭輸出が混乱

3月19日付報道によると、トランプ大統領が米国造船業の活性化を目的に、米国の港湾に入港する中国船舶に対する高額の料金を課す計画案を提起しており、これが米国輸出活動に大きな混乱を生じさせている。報道によると、石炭業界では船舶が確保できず輸出港の石炭在庫が増加し、輸出業者が海外バイヤーに発送できなくなっているという。

3月12日付でXcoal Energy & Resources社CEOアーニー・スラッシャー氏がハワード・ラトニック商務長官宛に送付した書簡によると、スラッシャー氏は提案が公表されて以降、船主側が今後の石炭輸送の価格見積もりを拒否するようになっていると述べ、本件が導入されれば、わずか60日以内に米国の石炭輸出が停止し、13億US$相当の商品が危険にさらされる可能性があると警告した。輸送費に対する影響は35%にも及ぶと予測され、国際市場での米国炭の競争力が損なわれることになる。

ウェストバージニア州石炭協会のクリス・ハミルトン最高経営責任者（CEO）もこれに同調し、売れ残り在庫の増加により地元の石炭採掘業者は人員削減を覚悟していると述べた。石炭在庫の増加は、石炭生産を中心に成り立つこの地域の経済を壊滅させかねない憂慮すべき傾向を示している。

今回の動きは米国の報復を恐れる同盟国もまた同様の政策を検討するといった連鎖反応を引き起こし、外交上の緊張が高まる可能性がある。

船主は不透明な中、当面コスト管理のため米国への寄港頻度を減らすことを検討し、国内最大の港では深刻な混雑を引き起こし、小規模な港では操業停止につながる可能性がある。業界の専門家によると、利用可能な船舶数が減少し、輸入品を輸送するボトルネックが生じ、輸出製品を待機中の船舶に輸送するプロセスが複雑化すると警告している。これらの大規模なサプライチェーンの混乱は広範囲に影響を及ぼし、経済回復を妨げ、インフレ圧力を更に悪化させる可能性がある。

26日、米国通商代表部（USTR）により公聴会が実施され、化石燃料・農業業界関係者は当該計画に対する批判を表明した。反対派は今回の計画は、国内造船所の受注増を期待するとしている農家や鉱山労働者にとっても逆効果の可能性があり、免除される船舶は殆どなく、年間最大300億ドルの輸入コストが米国の消費者に押し付けられると述べた。メディアは、本件による石炭輸出が最大24.5%減少する可能性があるという調査結果を報じている。