コロンビア:セレホンが年間生産量を500万トン~1,000万トン削減すると発表

掲載日:2025年4月11日

3月26日付現地紙によると、セレホンが生産量を削減することを公表した。コロンビア石炭産業が国際市場で競争力を失っていることについては様々なソースで警告されているが、これは外部要因と内部要因の両方によって引き起こされたものである。

最初の要素は、世界における石炭価格動向に関係している。一般炭の場合、ロシアのウクライナ侵攻等の地政学的状況により、価格は2年近くにわたって大きな変動を経験し、一時は1トン当たり300ドル近くに達したものの、その後100ドルをわずかに上回る程度で推移した。

過去1年間のあいだ、中国だけでも火力発電が2%増加した等、世界の石炭需要はアジアへとシフトした。これは物流コストの増加も意味し、Platssによると、北東アジアへの物流コストは北西ヨーロッパに比べて 72% 高い。

全国石炭生産者連盟(Fenalcarbón)によると、コロンビアの一般炭の主な輸出先はアジアに集中し、2024年には、韓国(15%)、トルコ(12%)、中国(12%)となった。

鉄鋼生産に使われる原料炭については、一部市場での供給過剰の影響もあり、価格は下落傾向を示している。Fenalcarbónによれば、世界的な高炉鉄鋼生産の減速により、原料炭価格は短期的には下落傾向を続けると予想される。

石炭産業に精通する弁護士によると、業界の状況は価格だけではなく、現在の規制にも影響を受けているという。

鉱業部門は、石炭生産活動に関する政府の決定によって生じる不確実性の影響を受けている。

この指摘には、一時的な天然資源保護区の境界を設定する法令44号や、鉱山地域(Mining District)によりコロンビア国内の鉱業を統合することを目的とした法令977号などの措置が含まれる。

「政府が発信しているメッセージは、鉱山会社だけでなく、国と地方自治体(CAR)の環境当局の法的・政治的立場にも影響を与えている」と当該弁護士は指摘する。

さらに、治安状況もあると言われる。例えば、昨年、セレホンは、生産物の輸送に使用されている鉄道が333回封鎖され、135日間の操業中断が発生したと報告されている。

こうした状況から、セレホンは、3月26日付で年間生産量を500万~1,000万トン削減すると発表した。この決定は、主に海上輸送される燃料炭の「持続不可能な価格」と、上記鉄道路線封鎖が事業に与えた影響によるものとされている。この結果、年間生産量は1,100万~1,600万トンになると推定される。

(リマ事務所 初谷 和則)

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