米国:EIA短期エネルギー見通し: 2025年3月分(石炭)

掲載日:2025年4月11日

3月11日、米国エネルギー省エネルギー情報局(U.S. Energy Information Administration: EIA)が月例の短期エネルギー見通し(Short Term Energy Outlook: STEO)を発表した。3月公表のSTEOにおける米国の石炭に係る主な見通しの概要は以下の通りである。
 
今次STEOでは、2025年に電力需要の全般的な拡大と天然ガス価格の上昇により、石炭火力発電由来の発電量は、前年比で390億キロワット時(kwh)増加(3%増)すると見ている。だが2026年には、天然ガス由来の電力供給が前年比で概ね横這いとなる一方で、石炭由来の発電量については550億キロワット時減少(8%減)すると予測する(図1参照)。


出所:U.S. EIA 「Short Term Energy Outlook March 2025」
図1 米国の電源別年間発電容量の変化(左)(単位:ギガワット)
および電源別年間発電量の変化(右)(単位:10億キロワット時)


今次STEOでは、2025年における石炭輸出量を、2月のSTEOで予測した1億2,000万ショートトン(102 MMst)から、9,700万ショートトン(97MMst)に下方修正した。本変更は、米ドル高、世界市場において石炭価格が低水準で推移していること、中国の対米石炭輸入に対する15%の追加関税の導入といった米国の石炭市場に対する圧力の強まり、そして豪州における生産量の拡大を反映したものである。こうした要因は、米国からの一般炭及び原料炭の両方の輸出にとって、向かい風となると考えられる。一方、2026年の石炭輸出量は前年比で若干増加し、9,900万ショートトン(99 MMst)となると予測する(図2参照)。そして米国産石炭の最大の輸出先は、本件STEOの予測対象期間を通じ、引き続きインドとなると見ている。
 
今次STEOでは、電力部門における石炭在庫は、2025年には前年比で24%減の9,800万ショートトン(98MMst)となり、2026年にも在庫からの引き出しが継続すると予測する。
 
2026年の石炭消費量は前年比で7%、石炭生産量は同3%、それぞれ減少すると予測する。同年の在庫量は、主に第三四半期の電力生産のピーク期間の引き出しにより、7,600万ショートトン(76MMst)となると見ている。


出所:U.S. EIA 「Short Term Energy Outlook March 2025」
図2 2024年から2026年における米国の石炭輸出量の推移
(単位:100万ショートトン)
 

(ワシントン事務所 三田部 真理)

おことわり:本レポートの内容は、必ずしも独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構としての見解を示すものではありません。正確な情報をお届けするよう最大限の努力を行ってはおりますが、本レポートの内容に誤りのある可能性もあります。本レポートに基づきとられた行動の帰結につき、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構及びレポート執筆者は何らの責めを負いかねます。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。

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