米国:トランプ大統領、EPAによる石炭火力発電所への規則に対して2年間免除の宣言を公表
掲載日:2025年4月18日
米国ホワイトハウスの公表によると、4月8日、ドナルド・トランプ米大統領は、石炭火力発電所からの有害物質基準の規制遵守に対して、今後2年間の免除を認める宣言に署名した。バイデン政権時代に強化された米国環境保護庁(U.S. Environmental Protection Agency: EPA)の水銀・大気有害物質基準((Mercury and Air Toxics Standards: MATS)に対する緩和となり、この環境規制に対して、2年間の免除が認められることになった。この措置により、石炭火力発電所が本規制要件を満たさない場合でも2年間は稼働できることになる。
2024年5月7日にEPAによって発表された、「有害大気汚染物質に関する国家排出基準:石炭および石油火力発電所に関する残留リスクおよび技術レビュー(89 FR 38508、規則)(National Emissions Standards for Hazardous Air Pollutants: Coal and Oil Fired Electric Utility Steam Generating Units Review of the Residual Risk and Technology Review, 89 FR 38508 (Rule))」と題する最終規則は、既存のMATS規則を改正し、より厳格なものとした。MATS規則では有害金属の排出基準を 67 パーセントと強化し、既存の褐炭火力発電所からの水銀の排出基準を 70 パーセント削減することとしている。また、本規則は2024年7月8日に施行され、 遵守日は施行日から3年後の2027年7月8日となっているが、トランプ大統領の宣言により、現遵守日である2027年7月8日から2年間、すなわち2029年7月8日までは本規則は適用除外となった。
トランプ現政権は、本規則がまだ商業的に実行可能な形にはなっていないにもかかわらず、排出抑制技術の使用を前提とした規制基準への準拠を要求しているとし、これが石炭火力発電所に深刻な負担を強いるものであり、しいては米国の石炭部門の存続に係るとしている。また、この規則の遵守期限により、多くの石炭火力発電所の停止、雇用喪失、送電網の危機といったリスクが、米国の電力需要の不足や海外からのエネルギー依存の増大となり、特に緊急時の電力・エネルギー供給の途絶に対する脆弱さは、米国の国家安全保障を損なうとし、石炭火力発電が米国の電力供給を確保する上で極めて重要であるとしている。
2024年5月7日にEPAによって発表された、「有害大気汚染物質に関する国家排出基準:石炭および石油火力発電所に関する残留リスクおよび技術レビュー(89 FR 38508、規則)(National Emissions Standards for Hazardous Air Pollutants: Coal and Oil Fired Electric Utility Steam Generating Units Review of the Residual Risk and Technology Review, 89 FR 38508 (Rule))」と題する最終規則は、既存のMATS規則を改正し、より厳格なものとした。MATS規則では有害金属の排出基準を 67 パーセントと強化し、既存の褐炭火力発電所からの水銀の排出基準を 70 パーセント削減することとしている。また、本規則は2024年7月8日に施行され、 遵守日は施行日から3年後の2027年7月8日となっているが、トランプ大統領の宣言により、現遵守日である2027年7月8日から2年間、すなわち2029年7月8日までは本規則は適用除外となった。
トランプ現政権は、本規則がまだ商業的に実行可能な形にはなっていないにもかかわらず、排出抑制技術の使用を前提とした規制基準への準拠を要求しているとし、これが石炭火力発電所に深刻な負担を強いるものであり、しいては米国の石炭部門の存続に係るとしている。また、この規則の遵守期限により、多くの石炭火力発電所の停止、雇用喪失、送電網の危機といったリスクが、米国の電力需要の不足や海外からのエネルギー依存の増大となり、特に緊急時の電力・エネルギー供給の途絶に対する脆弱さは、米国の国家安全保障を損なうとし、石炭火力発電が米国の電力供給を確保する上で極めて重要であるとしている。
(石炭開発部 福水 理佳)
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