ロシア:ロシアのエネルギー戦略、石炭輸出を2024年の1億9,620万トンから2050年までに3億5,010万トンへ増加

掲載日:2025年4月18日

4月14日付けの地元メディアによると、ロシア政府は2050年エネルギー戦略を承認し、同国は2050年までに石炭輸出量を3億5,010万トンに増やす計画である。

この数字は、燃料およびエネルギー部門の開発を優先するシナリオを反映した目標値(以下「目標シナリオ」)となっている。他方、開発に対する大幅な投資を行わずに現在の操業を維持する現状維持シナリオもあり、2050年までに石炭輸出量が2億9,480万トンに達する見込みとなっている。石炭生産量は目標シナリオでは6億6,200万トンの増加の可能性が示されており、現状維持シナリオでは5億8,640万トンと見込まれている。また国内市場への供給量は、目標シナリオが2億3,170万トン、現状維持シナリオが2億2,770万トンとなっている。

2030年の石炭輸出については、目標シナリオで2億6,670万トン、現状維持シナリオで2億4,350万トンに増加する見通しであり、2030年の石炭生産量は目標シナリオで5億3,010万トン、現状維持シナリオで4億9,160万トンの見込みである。Alexander Novak副首相は国内エネルギー政策メディアのコラムの中で、2024年時点の石炭生産量は4億4,350万トン、うち1億9,620万トンが輸出用として供給されたと明らかにした。

エネルギー省によれば、2025年の石炭生産量は2024年と同水準を維持する計画とされている。しかしNovak氏は3月末に、2025年の生産予測については下方修正される見通しであると述べている。2024年のロシアの石炭会社の純損失は、前年の利益3,747億ルーブル(約45億米ドル)に対して、1,126億ルーブル(約13.5億米ドル)に達している。2025年3月中旬、エネルギー省はロシア石炭産業のための危機対策プログラムの草案を発表した(2025年4月11日付:2025年3月中旬、ロシアのエネルギー省は石炭産業向けの危機対策プログラムの草案を発表https://coal.jogmec.go.jp/info/docs/250411_4.html参照)。 その中には、物流プロセスの改善、国際協力の推進、炭鉱地域や単一産業の町への支援、さらには同産業への財政・税制支援の提案などが含まれている。

同省によると、このプログラムの主要な目的のひとつは、石炭の輸出を維持し、石炭生産を継続するために必要な投資を誘致するとのことである。

(石炭開発部 佐藤 譲)

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