米国:EIA短期エネルギー見通し: 2025年4月分(石炭)

掲載日:2025年4月25日

4月10日、米国エネルギー省エネルギー情報局(U.S. Energy Information Administration: EIA)が月例の短期エネルギー見通し(Short Term Energy Outlook: STEO)を発表した。4月公表のSTEOにおける米国の石炭に係る主な見通しの概要は以下の通りである。
 
米国の石炭輸出量について、今次STEOでは、4月4日に中国が米国からの輸入品に対し、34%の報復関税を課す計画を発表したことを受け、米国の石炭輸出量は減少すると見ており、2025年の原料炭の輸出量は4,400万ショートトン(44MMst)に、一般炭の輸出量は4,900万ショートトン(49MMst)となり、合計9,300万ショートトン(93MMst)となると予測している。これは、先月STEOの予測から、400万ショートトン(4MMst)の下方修正である。
 
尚、2024年の実績である原料炭5,686万ショートトン、一般炭5,073万ショートトン、合計1億759万ショートトンからは約1,500万ショートトンの大幅な減少となっている。
 
2026年には世界市場がバランスを取り戻し、米国からの原料炭の輸出量は4,600万ショートトン(46MMst)に回復するも、一般炭については天然ガス価格の上昇を受け、石炭の国内消費量が増加すると目されていることから、前年比で200万ショートトン(2MMst)減少し、4,700万ショートトン(4.7MMst)となると予測する。
 
米国の石炭生産量については、3月の実際の石炭生産量が予想を上回る水準となったことを受け、今次STEOの石炭の国内生産量を、先月STEOから1,000万ショートトン(10MMst)上方修正し、4億9,000万ショートトン(49MMst)と予測する(図1参照)。
 
今年1月のSTEOにおける予測と比較すると、アパラチア地域を始めとした西部における生産量が増加している。これは、当該地域では天然ガス価格が大幅に上昇しており、発電用のより安価な燃料として、石炭需要が拡大したことを反映していると考えられる。
 
今次STEOでは、2025年のアパラチア地域における石炭生産量は、2025年1月STEOでの予測から300万ショートトン(3MMst)増となる、1億4,500万トン(145MMst)となるとし、西部地域の生産量を2025年の1月STEOでの予測から800万ショートトン微増となる、2億6,700万ショートトン(267MMst)となると予測している。同様に内陸部の生産量も、1月STEOでの予測から200万ショートトン(2MMst)増加し、7,800万ショートトン(78MMst)となると予測する。

2025年の電力部門における石炭消費量は、前年比で4%増となる一方で、同生産量は前年から4%減少することになると予測。消費量が増加する一方で、生産量は減少すると見られていることにより、2025年末時点での電力部門における石炭在庫は、前年同期間比で19%減となる、1億400万ショートトン(104MMst)となると見ている。


出所:U.S. EIA 「Short Term Energy Outlook April 2025」
図1 2024年から2026年における米国の石炭生産量(単位:100万ショートトン)
 

(ワシントン事務所 三田部 真理)

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