ロシア:ロシア企業、ウクライナ東部の9つの炭鉱運営権を放棄 

掲載日:2025年4月25日

4月22日付けのロシア側地元メディアによると、ウクライナの一部である「ルハンスク人民共和国」および「ドネツク人民共和国」で15の炭鉱をリースしていたロシア企業2社(Impex-Don社、Don Coal Trading House社)は、運営コストの高騰と現在の世界的な石炭価格を踏まえ、計画していた操業が採算に合わないと判断し、9つの炭鉱運営権を放棄した。

放棄された鉱山の行方は、州当局と投資家との間で議論の渦中にある。議論の焦点は、採算が取れない炭鉱廃止のための技術計画の策定費用を誰が負担し、閉鎖または一時停止まで維持管理費用を誰が支払うかにある。ロシア現地メディアの推計によると、対象となるすべての炭鉱の年間維持費は20億~30億ルーブル(約2,409万米ドル~3,613万米ドル)に上る。また、これらの施設で働いていた鉱山労働者に対する代替雇用や再訓練計画の策定を求める圧力も高まっている。

ロシア独立石炭産業労働組合(Russian Independent Trade Union of Coal Industry Worker)のIvan Mokhnachuk委員長はロシア現地メディアに対し、鉱山の閉鎖プロセスを適切に管理しなければ、周辺の住宅地で「地盤変形」が発生するリスクがあると警告した。

ウクライナ当局の推計によれば、2014年から2022年の間に、ルハンスク、ドネツク両人民共和国から年間約280万トンの石炭をロシアへ輸出しており、その総額は約2億8,800万米ドルにのぼるという。ウクライナ政府によると、ロシアの侵攻前には両州では95の炭鉱が稼働していたが、現在も稼働している炭鉱数は不明とのことである。

(石炭開発部 佐藤 譲)

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