インドネシア:海外での石炭火力への融資停止を約束した中国がインドネシアにおける石炭火力発電所の新設を行う矛盾
掲載日:2025年5月9日
2025年4月29日付地元報道によると、中国が2021年に海外での石炭プロジェクトへの融資を停止すると約束しているにもかかわらず、中国企業がインドネシアで石炭火力発電所の新設を続けている。これは、米国のシンクタンクによるBRICS諸国へのエネルギー投資の分析結果による。同シンクタンクによると、中国は7.7GWの新規石炭火力発電所の建設に関与しており、その多くはインドネシアのニッケル製錬所の電力に使われている。BRICSは2009年にブラジル、ロシア、インド、中国によって設立され、現在では世界経済の約4分の1を占めるまでに加盟国とパートナーを拡大している。ブラジル、インド、中国では、2024年に発電設備容量の半分以上を自然エネルギーで賄っていた。しかし、ナイジェリア、カザフスタン、インドネシアを含む10カ国の新規加盟国およびパートナー国では、エネルギー需要の増加に対応するために化石燃料への依存度が依然として高く、中国がその大部分を支援している。同シンクタンクは中国のこれら10ヵ国への石炭、ガス、石油への投資によって、これらの国々が誤った道に導かれる危険性があると指摘している。これら10カ国は、石炭、石油、ガスで25GWの発電設備を建設しており、太陽光と風力は2.3GWである。さらに63GWのガス発電設備が開発中である。
6月にブラジルで開催されるBRICS首脳会議では、気候変動が大きな議題となるが、開催国ブラジルは、11月に開催されるCOP30気候サミットを前に、中国やその他の国に対し、排出量削減に向けてより大きな約束をするよう求めている。
6月にブラジルで開催されるBRICS首脳会議では、気候変動が大きな議題となるが、開催国ブラジルは、11月に開催されるCOP30気候サミットを前に、中国やその他の国に対し、排出量削減に向けてより大きな約束をするよう求めている。
(ジャカルタ事務所)
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