英国:英国、インドとのFTAに合意

掲載日:2025年5月16日

英国政府は5月6日に、インドとの自由貿易協定(Free Trade Agreement:FTA)締結の発表を行った。この協定により、英国からインド向け輸出品目の90%の関税が削減され、そのうち85%は10年以内に完全に無関税となる。また、英国政府は長期的にみると、英国経済に48億ポンドをもたらし、二国間貿易として255億ポンドとなると見積もっている。

一方、インド現地メディアによると、インドは輸出品の99%に対する関税が引き下げられることで恩恵を受けると期待しており、様々な分野での輸出機会の増加が期待されているという。また、インドは二国間拠出協定に基づき、IT、金融や教育等に係るサービス部門のインド人労働者とその雇用主を対象に、英国に一時的に滞在する際には、3年間の社会保障拠出金の免除を確保したとされている。

今回の本協定の公表が、ドナルド・トランプ米大統領による関税発動を受けて、貿易環境が不確実な状況下において行われたこともあり、インドメディアでは、本協定の締結がインドの輸出業者にとって大きな魅力であり、両国経済にとって様々な点で意義深いものであるとしている。

他方、今回のFTAの条文には、英国が2027年から導入する炭素税となる、英国の炭素国境調整メカニズム(Carbon border adjustment mechanism :UK CBAM)に対する措置項目はないとされている。そのため、UK CBAMにおいて鉄鋼やアルミニウムといったインド製品には炭素税が課せられることになるとされる。

英国政府は4月24日、炭素漏出に対処するための新しい税となる、UK CBAMに対する草案を発表している。本草案の発表は、昨年の10月に英国政府がUK CBAMの導入を 2027年1月1日に施行することを公表したことに基づくものであり、英国に輸入される最も排出量の多い工業製品に炭素価格を設定するものである。アルミニウム、セメント、肥料、水素、鉄鋼部門からの特定の製品が炭素税の対象となっている。

(石炭開発部 福水 理佳)

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