米国:米エネルギー省、原料炭を重要物質に指定

掲載日:2025年5月30日

5月23日、米エネルギー省(U.S. Department of Energy:DOE)は、鉄鋼生産に使用される原料炭を重要物質に指定すると発表した。

本措置は4月8日にホワイトハウスが公表した、衰退する米国の石炭産業の復活を目的とした大統領令に基づくものであり、エネルギー省長官が米国の2020年エネルギー法に基づく権限に従い、原料炭が同法に基づく重要物質の定義を満たすかどうかを判断し、満たす場合はエネルギー省重要物質リストに掲載するための措置を講じなければならないという命令に沿ったものである。

本措置はまた、トランプ政権が3月12日に施行した、1962年通商拡大法232条に基づく鉄鋼・アルミニウム製品の米国輸入に対して25%の追加関税の適用の宣言と共に、戦略的サプライチェーンの開発と再産業化の取組を支援するものである。

エネルギー省は今回の公表で、石炭が重要な資源である理由として、鉄鋼はエネルギー技術、輸送、そして防衛システムに不可欠であり、鉄鋼生産の原料となる原料炭と無煙炭は米国の国益にとって極めて重要であるとしている。また、アパラチア地域で生産される無煙炭は、国内鉄鋼生産の約70%を占める電炉法において重要な役割を果たしており、さらに米国では150以上の原料炭の炭鉱において数万人が雇用されていることから、投資や操業能力の低下により衰退している石炭産業に対し、何らかの介入措置がなければ米国内の鉄鋼産業の優位性を危うくすることになるとしている。

(石炭開発部 福水 理佳)

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