南アフリカ:Sasol社、主力石炭液化プラントのフル稼働と石炭の品質向上で、温室効果ガス排出量30%削減目標を達成する計画

掲載日:2025年5月30日

2025年5月20日付報道によると、石炭とガスを原料とする合成燃料の世界最大の生産者であるSasol社は、事業改善戦略の一環として、主力のセクンダ石炭液化プラントをフル稼働させ、また石炭の品質向上と再生可能エネルギーの調達量を増やすことで2030年までの温室効果ガス排出量30%削減を目指す計画を発表した。

同社は2021年に「温室効果ガス排出量削減のための生産量削減計画」を発表、化石燃料を最終的にはグリーン水素に置換する計画であった。しかし、結果的にムプマランガ州にあるセクンダ石炭液化プラントの全額減損と株価の大幅下落に繋がったことから、バロイ最高経営責任者(CEO)は生産量削減計画を撤回し、セクンダ石炭液化プラントの生産量を700万トン未満から740万トン以上のフル稼働にまで回復させると表明した。

同時に、コスト削減と温室効果ガス排出量30%削減の目標を維持するため、長年の課題であった石炭の品質向上にも取り組む。具体的には、リアルタイムの石炭品質監視システム導入のほか、トゥベリシャ炭鉱の操業最適化やコスト低下、外部からの石炭調達による原料調整を行うという。そのほか、再生可能エネルギーの発電容量目標を1.2GWから2GWに引き上げ、石炭由来の温室効果ガス排出量の一部を相殺する計画である。

(石炭開発部 小口 朋恵)

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