コロンビア:石炭採掘業者等に課す源泉徴収税を2.2%から4.5%に引き上げ

掲載日:2025年6月6日

2025年5月29日付報道によると、コロンビア政府は、石炭採掘業者等に課す源泉徴収税を現在の2.2%から最大4.5%に引き上げる法令0572号を施行した。
 
この法令は、国家財政の赤字と資金繰りを改善する目的で、6月1日から適用され、源泉徴収率を引き上げることで2026年の税収を前倒しする方針である。
 
しかし、この法令に対しては複数の業界関係者が警戒感を示し、短期的に経済活動に影響を及ぼすばかりか、2026年の税収を悪化させることになり根本的な問題の解決にはならない、との指摘がある。コロンビア鉱業協会(ACM)によると、2025年の石炭の国際価格は対前年比11%下落している一方で、人件費、エネルギー、輸送等の操業コストは上昇を続けている。ACMのNariño会長は「鉱業部門の競争力を失うだけでなく、国の経済全体を弱体化させる恐れがある」と述べ、厳密な分析をしないまま本法令が施行されたことに驚きを示した。全国石炭生産者連盟(Fenalcarbón)のCarlos Cante会長も「石炭業界関係者の税負担能力が無視され、企業に深刻な影響を与えることになる」と増税に反対の意志を示した。
 
コロンビア政府は2024年、源泉徴収率を1.6%から2.2%に引き上げていたほか、2025年1月、ベネズエラ国境付近の治安強化のため石炭と原油の販売・輸出に1%の追加税を課しており、今回の法令はこれらに次ぐ税率引き上げとなった。(2025年3月7日付:政府は国内の騒乱に対して新たな税金を課す法令を発布https://coal.jogmec.go.jp/info/docs/250307_6.html参照)

(石炭開発部 小口 朋恵)

おことわり:本レポートの内容は、必ずしも独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構としての見解を示すものではありません。正確な情報をお届けするよう最大限の努力を行ってはおりますが、本レポートの内容に誤りのある可能性もあります。本レポートに基づきとられた行動の帰結につき、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構及びレポート執筆者は何らの責めを負いかねます。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。

レポート一覧

Adobe Reader

PDF形式のファイルをご覧いただくには、アドビシステムズ社から無償配布されているAdobe Readerプラグインが必要です。

ページの先頭へ