インドネシア:高カロリー石炭が不足、政府は輸出市場を縮小するなどの措置を講ずべき

掲載日:2025年6月13日

2025年6月3日付地元報道によると、 インドネシアの高カロリー石炭の埋蔵量が減少しており、専門家らは、国家エネルギー安全保障のために石炭の供給量と品質を確保するよう政府に要求しているという。

エネルギー鉱物資源省(ESDM)スリヤ・ヘルジュナ石炭事業開発局長は5月28日に実施された「石炭と国家エネルギー主権」において、現時点におけるインドネシアにおける石炭の確認埋蔵量は約310億トン、推定資源量は約970億トンであるが、埋蔵量全体のうち6,000kcal/GARの高カロリー炭は5%程度に過ぎず、5,000kcal/GARの石炭は約8%、4,200kcal/GARの石炭は73%に達していると述べた。

インドネシア鉱業・エネルギーフォーラム(IMEF)の審議会長シンギ氏によると、高カロリー炭は主に工業用セメントなどに利用されているが、中カロリー(4,200kcal/GAR~5,200kcal/GAR)の石炭は、国政電力企業PT PLN(Persero)および独立系発電事業者(IPP)の一般電力用に広く利用されているという。 同氏は、「これら2種類の石炭は国内産業にとって非常に重要性が高く、2025~2034年の電力供給事業計画(RUPTL)では、PLN保有の火力発電所(PLTU)の発電容量を19.7GW増加させる計画があり、石炭がまだ必要とされている。高カロリーおよび中カロリーの石炭埋蔵量は、国内の利益のために優先されるべきであり、ESDMは高・中カロリー炭の輸出市場をただちに縮小するなどの措置を講ずべきである」と主張した。

また、同氏は政府に対して石炭探査活動を継続的に拡大する事を促した。政府は石炭の量と質の両方についてより明確な将来計画を作成し、国家生産を管理する必要があると述べ、この計画は今後の鉱山会社が企業予算作業計画(RKAB)を制作する指針となり、政府も承認するであろうとした。

同様に、エネルギー・鉱業法研究センター(PUSHEP)のビスマン・バクティアル事務局長も、高カロリー炭の埋蔵量がわずか5%しか残っていないことに憂慮を表明している。同氏は 高カロリー炭は主要なエネルギー源で且つ工業用に不可欠なものであり、その供給保証が無ければエネルギー危機となる可能性があると述べた。「政府は探査を強化していく必要がある。探査活動は埋蔵量を増やす唯一の方法であり、探査なくして高カロリー炭の埋蔵量を増やすことはできない。」と語った。また同氏によるとこの状況は企業関係者にとってチャンスであると同時に課題でもある。高カロリー炭が希少になればなるほど、需要が高まり、価格も高くなるため、企業は資金を必要とするからである。 企業は高カロリー炭の埋蔵量を増加させるため政府のパートナーとして探査を推進する機会もあるという。

一方、製錬所、セメント、金属加工、その他の重工業に関連する業界関係者はこの状況を注視している。彼らにとっては、高カロリー炭の供給が制約される可能性があるため、代替供給源の確保、エネルギーの多様化、運用の効率化が必要であるとしている。

(ジャカルタ事務所)

おことわり:本レポートの内容は、必ずしも独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構としての見解を示すものではありません。正確な情報をお届けするよう最大限の努力を行ってはおりますが、本レポートの内容に誤りのある可能性もあります。本レポートに基づきとられた行動の帰結につき、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構及びレポート執筆者は何らの責めを負いかねます。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。

レポート一覧

Adobe Reader

PDF形式のファイルをご覧いただくには、アドビシステムズ社から無償配布されているAdobe Readerプラグインが必要です。

ページの先頭へ