米国:EPA、化石燃料火力発電所の温室効果ガス基準およびガイドライン規則案撤廃を提案
掲載日:2025年6月20日
6月11日、米環境保護庁(U.S. Environmental Protection Agency:EPA)は、大気浄化法(Clean Air Act)に基づく、化石燃料による火力発電所からの温室効果ガス(Greenhouse Gas:GHG )排出基準をすべて廃止し、併せて石炭火力発電所の操業停止に直結する2024年水銀・大気有害物質基準(Mercury and Air Toxic Substances:MATS)の改正を廃止する提案を発表した。
火力発電所からのGHG排出基準の廃止については、オバマ政権時代に発令された新規の化石燃料火力発電所に対する2015年の排出基準と、バイデン政権時代に発令された新規および既存の化石燃料火力発電所に対する2024年の規則に対する廃止の提案となる。
現行の規則では、既存の石炭火力発電所および新規の天然ガス火力発電所(既存のガス火力発電所を除く)からのGHG排出を90%抑制することが義務付けられている。石炭火力発電所に対しては、2039年以降に運転を続ける場合には2032年までにGHGの排出量を90%削減するよう義務付ける内容となっており、CO²回収・貯留(CCS)を通じた目標達成も可能としていた。EPAは、火力発電所からのGHG排出は同法の意味における大気汚染に大きく寄与するものではないと見解を示した。その上で、大気浄化法において火力発電所からの排出を規制する前に、対象となる排出源からの排出が大気汚染へ著しく寄与しているという判断についてはEPAに義務付けることを提案している。
また、2024年5月7日に施行された、石炭・石油蒸気発電設備に対する有害大気汚染物質排出基準(National Emission Standards for Hazardous Air Pollutants for Coal- and Oil-Fired Electric Utility Steam Generating Units)、通称MATSの一部改正を廃止することについては、石炭・石油火力発電所から排出される有害大気汚染物質を2012年の基準に戻す提案をしている。この措置は、石炭火力発電所における粒子状物質(Particulate matter :PM)排出基準、褐炭火力発電所における水銀基準、およびPM連続排出監視システム(CEMS)の使用要件を、すべての施設に対して緩和する提案となっている。
EPAによると、当初のMATS規則は2012年に公布され、以来、公衆衛生と環境保護に高い効果を上げている。石炭火力発電所からの2021年の水銀排出量は、MATS以前のレベルより90%減少した。2010年以降、酸性ガス有害大気汚染物質の排出量は96%以上削減され、水銀以外の金属(ニッケル、ヒ素、鉛など)の排出量は81%以上削減されたとしている。この措置案はまた、人の健康と環境を保護するという EPA の中核的使命を達成しつつ、石炭火力発電所と石油火力発電所への費用負担を取り除くことで、米国のエネルギー覇権の回復に向けた取り組みを強化するための措置案であるとしている。
火力発電所からのGHG排出基準の廃止については、オバマ政権時代に発令された新規の化石燃料火力発電所に対する2015年の排出基準と、バイデン政権時代に発令された新規および既存の化石燃料火力発電所に対する2024年の規則に対する廃止の提案となる。
現行の規則では、既存の石炭火力発電所および新規の天然ガス火力発電所(既存のガス火力発電所を除く)からのGHG排出を90%抑制することが義務付けられている。石炭火力発電所に対しては、2039年以降に運転を続ける場合には2032年までにGHGの排出量を90%削減するよう義務付ける内容となっており、CO²回収・貯留(CCS)を通じた目標達成も可能としていた。EPAは、火力発電所からのGHG排出は同法の意味における大気汚染に大きく寄与するものではないと見解を示した。その上で、大気浄化法において火力発電所からの排出を規制する前に、対象となる排出源からの排出が大気汚染へ著しく寄与しているという判断についてはEPAに義務付けることを提案している。
また、2024年5月7日に施行された、石炭・石油蒸気発電設備に対する有害大気汚染物質排出基準(National Emission Standards for Hazardous Air Pollutants for Coal- and Oil-Fired Electric Utility Steam Generating Units)、通称MATSの一部改正を廃止することについては、石炭・石油火力発電所から排出される有害大気汚染物質を2012年の基準に戻す提案をしている。この措置は、石炭火力発電所における粒子状物質(Particulate matter :PM)排出基準、褐炭火力発電所における水銀基準、およびPM連続排出監視システム(CEMS)の使用要件を、すべての施設に対して緩和する提案となっている。
EPAによると、当初のMATS規則は2012年に公布され、以来、公衆衛生と環境保護に高い効果を上げている。石炭火力発電所からの2021年の水銀排出量は、MATS以前のレベルより90%減少した。2010年以降、酸性ガス有害大気汚染物質の排出量は96%以上削減され、水銀以外の金属(ニッケル、ヒ素、鉛など)の排出量は81%以上削減されたとしている。この措置案はまた、人の健康と環境を保護するという EPA の中核的使命を達成しつつ、石炭火力発電所と石油火力発電所への費用負担を取り除くことで、米国のエネルギー覇権の回復に向けた取り組みを強化するための措置案であるとしている。
(石炭開発部 福水 理佳)
おことわり:本レポートの内容は、必ずしも独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構としての見解を示すものではありません。正確な情報をお届けするよう最大限の努力を行ってはおりますが、本レポートの内容に誤りのある可能性もあります。本レポートに基づきとられた行動の帰結につき、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構及びレポート執筆者は何らの責めを負いかねます。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。