韓国:韓国政府、韓国石炭公社(KOCOAL)の清算を巡り内部対立

掲載日:2025年6月27日

6月23日付地元報道によると、韓国最古の国営企業である韓国石炭公社(KOCOAL)の取り扱いをめぐり、産業通商資源部(MOTIE:経済産業省に相当)と企画財政部(MOEF:財務省に相当)との対立が深まっているという。所管官庁のMOTIEは、約2兆4600億ウォンに上る政府債務の解決に向け、KOCOALの清算に賛成している一方、国庫の監督機関であるMOEFはこの計画に反対している。

報道によると最近、MOTIEは、KOCOALの取り扱いについて、KOCOALの清算か、韓国鉱山復旧鉱物資源公社(KOMIR)との統合という2つの選択肢をMOEF主計局と政策局に正式に通知した。MOTIEは清算案を優先する姿勢を示しており、5月にはKOCOALに対し6月30日までに全従業員を退職させる方針を伝えたと報じられている。この解釈では、全従業員の退職届提出により雇用は後継に引き継がれる可能性があり、清算計画に近い。

一方MOEFはこれに強く反対している。国有企業による2兆ウォン超の負債を政府が引き受けることは、莫大な財政負担となるだけでなく、10年以上もリストラを先送りした後に財政負担を国に転嫁するという、他の公的機関にとって誤った前例となる可能性があると主張している。KOCOALの負債は2015年の1兆5,989億ウォンから2024年は2兆4,642億ウォンに増加した。関係者は「公的機関が破綻に陥ったとしても、最終的には政府がすべての負債を引き受けるというシグナルとなり、モラルハザードを助長する可能性がある」と指摘した。

MOEFは特にKOCOALが2016年に経営難に陥った際、MOOTIEは構造改革計画を発表したにもかかわらず、合併や清算といった実質的な対策を講じず、KOCOALをハンドリングする調査を繰り返し実施してきたことについて責任を問われるべきだと強く主張している。2005年以降、年間約1,000億ウォンの損失が繰り返されているにもかかわらず、MOTIEは雇用の安定性への懸念や地元住民の不満を理由に、複数の調査プロジェクトを委託するなど、実質的な対策を先送りしてきた。MOEF当局は「MOTIEは長年にわたる巨額の負債の累積について説明し、責任を取るべきだ」と述べた。

(石炭開発部 宮崎 渉)

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