欧州:英国、産業戦略を発表。鉄鋼等製造業への電気料金を削減

掲載日:2025年6月27日

英国政府は、6月23日、新たな産業戦略を発表した。英国でのビジネスを容易にするための10年計画となるこの戦略では、2027年から英国企業の電気料金を最大25%削減する計画が盛り込まれ、英国の7,000以上の企業に恩恵をもたらすとしている。

英国政府によると、英国の製造業者は現在、先進国の中でも非常に高額な電気料金を支払っており、また送電網接続延滞といった課題が英国企業の成長を阻害し、競争力を低下させてきたため、本戦略によって政府が産業への支援を行うとしている。

さらに同戦略では、鉄鋼、化学、ガラス産業といった電力集約型企業への支援を強化することが含まれている。これら企業は、支払う電力網料金の一部を負担する制度である「英国産業スーパーチャージャー(British Industry Supercharger)」において、現在は支払う料金から60%の割引を受けているが、2026年以降は90%の割引となる。これにより、鉄鋼、セラミックス、ガラスなどの分野で約500の対象企業がコスト削減や雇用を守ることができるとしている。また、英国産業スーパーチャージャーの資金調達は、EUの炭素市場との連動といった、英国のカーボンプライシングの強化による追加資金も使用する予定であり、家庭の電気代や税金を上げることなく資金を確保するとしている。

この戦略の背景の1要因としては、昨今の不安定な国際市場のエネルギー価格において、英国がガスに依存した結果、長い間、高い電気料金が英国企業の足かせとなってきたことが挙げられるという。産業戦略の一環として、英国政府は主要部門の産業用電力料金を引き下げることで、英国産業の潜在力を引き出そうとしている。

(石炭開発部 福水 理佳)

おことわり:本レポートの内容は、必ずしも独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構としての見解を示すものではありません。正確な情報をお届けするよう最大限の努力を行ってはおりますが、本レポートの内容に誤りのある可能性もあります。本レポートに基づきとられた行動の帰結につき、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構及びレポート執筆者は何らの責めを負いかねます。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。

レポート一覧

Adobe Reader

PDF形式のファイルをご覧いただくには、アドビシステムズ社から無償配布されているAdobe Readerプラグインが必要です。

ページの先頭へ