インドネシア:中国、石炭の供給過剰や二酸化炭素排出規制の強化により、インドネシア産低品位炭の輸入を縮小の方針

掲載日:2025年7月4日

2025年6月12日付地元報道によると、中国は石炭の供給過剰状態にあり、更に政府による二酸化炭素排出規制の強化を受け、インドネシア産の低品位炭(褐炭)の輸入を削減する可能性が高まっている。これは、低カロリーで安価な低品位炭を主に輸出してきたインドネシア石炭事業者にとって大きな打撃となる。現在、中国の一般炭価格は、4年ぶりの安値に低迷している。背景には、経済の減速に伴う電力需要が伸び悩んでいること、再生可能エネルギーの発電比率の増加がある。中国石炭輸送流通協会のアナリストは、2025年5月の石炭輸入量は前年同月比で3ヶ月連続で減少し、年内さらに輸入量が減少する可能性が高いとしている。過去3年間、中国は最大の石炭供給国であるインドネシアからの褐炭の輸入を強化し、高品位炭とブレンドして発電に使用してきた。

しかし、近年の石炭価格下落により、電力会社は高品位な石炭を安価に入手できることになったことで、褐炭取引は減少傾向にある。この傾向は中国政府の気候変動対策と排出削減目標に合致したものである。中国最大の発電事業者である中国華電は、輸入総量が2024年の5億4,300万トンから、2025年には約4億トンに減少すると予測している。アナリストは、高カロリーな高品位炭であれば、季節的あるいは地域的な供給不足を十分に補うことができるはずだと見ている。一方で中国の石炭全体の需要は依然として高く、2026年から消費量を削減するという政府の公約は疑問視されている。これは2010年代に経済活動を停滞させるような停電が相次いだため、中国は供給の安定性を確保するために石炭火力発電の大規模な拡張を進めているからである。さらに、電力消費はデータセンターの新設やグリーン製造業、ハイテク製造業の拡大によって増加する可能性が高い。2024年の中国国内の石炭生産量は47億トンを超え過去最大となっており、中国の主要供給源となっている。中国の石炭需要は、2027年にピークを迎えると予想されている。

(ジャカルタ事務所)

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