米国:石炭優遇策を含む税制法案「One Big Beautiful Bill Act」が可決
掲載日:2025年7月18日
7月3日、米国政府は、米国連邦議会下院により大型減税・歳出法案となる「One Big Beautiful Bill Act」が正式に最終承認されたと公表した。本法案により石炭、石油、天然ガスなどの化石燃料産業は税制上の優遇措置を受け、連邦政府の土地での掘削が拡大されることとなる一方、再生可能エネルギー技術に対する優遇措置は段階的に廃止されることとなった。
本法案には石炭部門に対する複数の支援策が盛り込まれている。石炭鉱区のリースに係る措置として、内務大臣は本法案の施行日から90日以内に、環境レビューの公表、特定の石炭鉱区に対するリース販売の実施、48州およびアラスカ州の連邦政府所有地における少なくとも400万エーカーの炭鉱地を新規リース用として提供を行わなければいけないとされている。
また、石炭採掘に係るロイヤリティ率については鉱物リース法(Mineral Leasing Act)において12.5%とされているが、本法案が施行されてから2034年9月30日までは7%を超えてはならないとされ、施行日以前にリース契約に係るロイヤリティを前払いとして既に支払い済みの企業に対しては、支払った額との差額分が控除されるとしている。
さらに、州境や私有地における採掘地での石炭採掘のための許認可手続きを迅速に進めるために、内務大臣に対し許認可に必要な措置を講ずるよう指示する旨の条項が設けられており、これらの措置により今後、米国では石炭生産の増加が見込まれている。
更に本法案は原料炭生産者に対する大幅な税制優遇を提供している。重要鉱物として指定された原料炭に対する生産費用税控除に係る支援策として、原料炭生産者は生産税額控除として、生産コストの2.5%相当の控除を申請することができる。あるエネルギー政策専門研究機関の分析によると、この税額控除は原料炭生産者に対し10 年間で約 3 億米ドルの利益をもたらす可能性があると試算されていると地元メディアでは報じられている。
なお、原料炭炭鉱における生産能力を喪失することは、単に雇用が失われるだけでなく、一度失うと簡単には再建できない専門的技術やインフラを失うことを意味している。そのため、昨今のインフレからの設備、労働力、規制遵守のためのコスト上昇により、利益率を圧迫している経済的な逆風に直面している石炭業界にとって、今回の減税案は大きな財政支援となるといわれている。
その他にも本法案では、エネルギーに関連した環境問題に対応するためにインフレ制御法(IRA)に基づいて制定された、温室効果ガス削減目的の計画・実施に対する助成金や報告基準を支援する「EPAプログラム」の廃止や、メタンガス排出削減を支援するための財政的インセンティブの提供となる「メタン排出削減プログラム」の廃止等が盛り込まれている。
本法案には石炭部門に対する複数の支援策が盛り込まれている。石炭鉱区のリースに係る措置として、内務大臣は本法案の施行日から90日以内に、環境レビューの公表、特定の石炭鉱区に対するリース販売の実施、48州およびアラスカ州の連邦政府所有地における少なくとも400万エーカーの炭鉱地を新規リース用として提供を行わなければいけないとされている。
また、石炭採掘に係るロイヤリティ率については鉱物リース法(Mineral Leasing Act)において12.5%とされているが、本法案が施行されてから2034年9月30日までは7%を超えてはならないとされ、施行日以前にリース契約に係るロイヤリティを前払いとして既に支払い済みの企業に対しては、支払った額との差額分が控除されるとしている。
さらに、州境や私有地における採掘地での石炭採掘のための許認可手続きを迅速に進めるために、内務大臣に対し許認可に必要な措置を講ずるよう指示する旨の条項が設けられており、これらの措置により今後、米国では石炭生産の増加が見込まれている。
更に本法案は原料炭生産者に対する大幅な税制優遇を提供している。重要鉱物として指定された原料炭に対する生産費用税控除に係る支援策として、原料炭生産者は生産税額控除として、生産コストの2.5%相当の控除を申請することができる。あるエネルギー政策専門研究機関の分析によると、この税額控除は原料炭生産者に対し10 年間で約 3 億米ドルの利益をもたらす可能性があると試算されていると地元メディアでは報じられている。
なお、原料炭炭鉱における生産能力を喪失することは、単に雇用が失われるだけでなく、一度失うと簡単には再建できない専門的技術やインフラを失うことを意味している。そのため、昨今のインフレからの設備、労働力、規制遵守のためのコスト上昇により、利益率を圧迫している経済的な逆風に直面している石炭業界にとって、今回の減税案は大きな財政支援となるといわれている。
その他にも本法案では、エネルギーに関連した環境問題に対応するためにインフレ制御法(IRA)に基づいて制定された、温室効果ガス削減目的の計画・実施に対する助成金や報告基準を支援する「EPAプログラム」の廃止や、メタンガス排出削減を支援するための財政的インセンティブの提供となる「メタン排出削減プログラム」の廃止等が盛り込まれている。
(石炭開発部 福水 理佳)
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