コロンビア:無計画なエネルギー転換は国の社会経済的リスクと指摘
掲載日:2025年9月19日
2025年9月10日付け報道によると、コロンビア石炭生産者連盟(Fenalcarbón)は、シンクタンクの地域エネルギー研究センター(CREE: Centro Regional de Estudios de Energía)と共同で作成したレポート「Transition of Carbon Colombian」の中で、的確な戦略なくエネルギー転換が加速すると、大きな財政的、社会的、経済的リスクに直面すると指摘した。
このレポートでは、コロンビアが2012~2022年と同様に年間平均7,990万トンの石炭生産量を維持すれば、2047年までの25年間は石炭生産を維持できる。48億トンの測定埋蔵量と推定埋蔵量を活用すれば、2110年まで生産可能という。
しかし、不適切な戦略によりコロンビア経済に38兆US$のマイナス影響を与える可能性があると警告している。ロイヤルティと所得税は、国が徴収する石炭分野の税収の約95%を占めており、国の財政の柱としても欠かせない。
セサル、ラ・グアヒラ県等では、石炭のロイヤルティ収入が現在の収入の100%以上を占めており、無計画なエネルギー転換は地域の安定や教育、医療、社会投資に壊滅的な影響を与えるという。コルドバ、クンディナマルカ、ボヤカ、アンティオキア、サンタンデール各県においても、石炭産業は雇用の創出だけでなく社会や環境にも貢献している。
レポートでは、脱炭素化への道筋として、石炭産業への影響を踏まえた3つの選択肢を提示している:
(1)「ベースライン」シナリオは、2060年までにカーボンニュートラル達成を目標としている。これを達成した場合、石炭生産量は2025年の推定5,700万トンから2030年には3,600万トン、2035年には1,400万トンに減少し、2040年からは約400万トンに減少する可能性がある。輸出は大幅に減少するが、原料炭、一般炭ともに資源を活用する能力は一定程度ある。しかし、地域の社会・財政への影響には大きなリスクが存在すると考えられる。
(2)「向かい風」シナリオでは、2050年までにカーボンニュートラル達成を目指している。石炭生産量が2021年比で89%減少し、国内需要量が大幅に減少し、排出規制がコークスの転換に重大な打撃を与えることになる。短期的には地域の資源が減少し、仕事や社会の再配置に十分な時間が確保できない。
(3)「追い風」シナリオでは、エネルギー転換は2070年または2100年まで延長される。これにより、原料炭、一般炭ともに十分な活用が可能となり、さらに数十年にわたって外貨とロイヤルティを確保できる。一般炭の国内需要は、ガス価格の不透明感やCCUS(二酸化炭素回収・利用・貯留)などの新技術に支えられ、より長期に亘って維持されるとみられる。また生産的なエネルギー転換を計画し、社会投資の維持に必要な時間を確保できる。
よって、現実的な公共政策がなければ、コロンビアは社会的、経済的、環境的に高コストを支払うリスクがあると結論づけている。突然のエネルギー転換によって、教育、医療、自治体のインフラに関わる74,000人の雇用とロイヤルティ収入の60%以上が急速に失われるという。これを避けるには、世界の傾向や国際市場の需要に合わせてエネルギー転換のペースを調整し、社会的、経済的安定を脅かす急激な影響を回避する必要がある。各地域の特性を踏まえ、代替となる経済活動を促進し、地域の能力を強化する戦略が必要だという。
このレポートでは、コロンビアが2012~2022年と同様に年間平均7,990万トンの石炭生産量を維持すれば、2047年までの25年間は石炭生産を維持できる。48億トンの測定埋蔵量と推定埋蔵量を活用すれば、2110年まで生産可能という。
しかし、不適切な戦略によりコロンビア経済に38兆US$のマイナス影響を与える可能性があると警告している。ロイヤルティと所得税は、国が徴収する石炭分野の税収の約95%を占めており、国の財政の柱としても欠かせない。
セサル、ラ・グアヒラ県等では、石炭のロイヤルティ収入が現在の収入の100%以上を占めており、無計画なエネルギー転換は地域の安定や教育、医療、社会投資に壊滅的な影響を与えるという。コルドバ、クンディナマルカ、ボヤカ、アンティオキア、サンタンデール各県においても、石炭産業は雇用の創出だけでなく社会や環境にも貢献している。
レポートでは、脱炭素化への道筋として、石炭産業への影響を踏まえた3つの選択肢を提示している:
(1)「ベースライン」シナリオは、2060年までにカーボンニュートラル達成を目標としている。これを達成した場合、石炭生産量は2025年の推定5,700万トンから2030年には3,600万トン、2035年には1,400万トンに減少し、2040年からは約400万トンに減少する可能性がある。輸出は大幅に減少するが、原料炭、一般炭ともに資源を活用する能力は一定程度ある。しかし、地域の社会・財政への影響には大きなリスクが存在すると考えられる。
(2)「向かい風」シナリオでは、2050年までにカーボンニュートラル達成を目指している。石炭生産量が2021年比で89%減少し、国内需要量が大幅に減少し、排出規制がコークスの転換に重大な打撃を与えることになる。短期的には地域の資源が減少し、仕事や社会の再配置に十分な時間が確保できない。
(3)「追い風」シナリオでは、エネルギー転換は2070年または2100年まで延長される。これにより、原料炭、一般炭ともに十分な活用が可能となり、さらに数十年にわたって外貨とロイヤルティを確保できる。一般炭の国内需要は、ガス価格の不透明感やCCUS(二酸化炭素回収・利用・貯留)などの新技術に支えられ、より長期に亘って維持されるとみられる。また生産的なエネルギー転換を計画し、社会投資の維持に必要な時間を確保できる。
よって、現実的な公共政策がなければ、コロンビアは社会的、経済的、環境的に高コストを支払うリスクがあると結論づけている。突然のエネルギー転換によって、教育、医療、自治体のインフラに関わる74,000人の雇用とロイヤルティ収入の60%以上が急速に失われるという。これを避けるには、世界の傾向や国際市場の需要に合わせてエネルギー転換のペースを調整し、社会的、経済的安定を脅かす急激な影響を回避する必要がある。各地域の特性を踏まえ、代替となる経済活動を促進し、地域の能力を強化する戦略が必要だという。
(石炭開発部 小口 朋恵)
おことわり:本レポートの内容は、必ずしも独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構としての見解を示すものではありません。正確な情報をお届けするよう最大限の努力を行ってはおりますが、本レポートの内容に誤りのある可能性もあります。本レポートに基づきとられた行動の帰結につき、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構及びレポート執筆者は何らの責めを負いかねます。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
