ルーマニア:ルーマニア政府、欧州委員会と石炭火力発電所閉鎖を5年間延期する交渉中

掲載日:2025年9月19日

9月2日付地元報道によると、ルーマニアのボグダン・イヴァン・エネルギー大臣は2日、同国は2.6GWの石炭火力発電所の閉鎖を少なくともあと5年間延期するべく欧州委員会(EC)と交渉していると述べた。

ルーマニアの電力構成はガス、石炭、再生可能エネルギーを組み合わせているが、ルーマニア政府はEUの資金による復興支援策の一環として2026年までに褐炭火力発電所と無煙炭発電所を段階的に廃止することを約束している。これを踏まえ国営電力会社CEオルテニアは、OMVペトロムおよびティンマールと提携し、石炭火力発電所の代替としてガス火力発電所と太陽光発電所を建設中であるが当初の計画よりも完成が遅れる見込みとなっている。また民間開発業者MASグループ・ホールディングは、ルーマニア中部において老朽化した石炭火力発電に代わる1.7GWのガス蒸気発電所を建設している。大臣は「現在、石炭火力発電所閉鎖の期限の5年延期を目指し、ECと緊密な交渉を行っている。これは、新規ガス火力発電所の稼働開始時期としては現実的な日付である」と述べた。

ちなみに同国は2023年来、延期を求めてきており、イヴァン大臣は、ルーマニアが2026年までに石炭火力発電所を閉鎖することによる国内経済・電力市場への悪影響を強調した報告書をEUに提出すると述べた。またEUの資金や官民の投資を活用して、2032年までに蓄電池2.25GWを含む12.96GW相当の新たなガス、原子力、風力、太陽光発電ユニットを追加する予定であると述べた。「これにより、我が国は電力の純輸入国から純輸出国に変わるだろう」とイヴァン氏は述べた。

2027年に稼働予定の大規模沖合ガスプロジェクトによりルーマニアは、ガスの純輸出国になると予想されている。ルーマニアは既に、国営ガス生産会社ロムガス、石油・ガスグループのOMVペトロム及びブラックシー・オイル・アンド・ガス社を通じて必要な天然ガスの約90%を国内生産している。

(石炭開発部 宮崎 渉)

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