コロンビア:Petro政権の税制改革、複数産業に対し炭素税の大幅引き上げを提案

掲載日:2025年9月19日

2025年9月2日付け報道によると、コロンビア政府は、財務・公債省を通じて、炭素税の税制改革案を共和国議会に提出した。この目的は、気候変動への対策を強化し、環境・社会的資金調達の新たな手段を確保することにある。


改革案では、カーボンニュートラルであることを技術的要件の下で環境・持続可能開発省に証明した企業は、炭素税の課税対象外とされる可能性がある。ただし、相殺は課税額の30%を超えず、同じ利益を他の会計年度に再利用することも認められない。また、液化石油ガス(LPG)および家庭用天然ガスに対しては適用されない。環境省は、温室効果ガス(GHG)削減プロジェクト認定の技術的基準および仕組みを定義する必要がある。


改革の主なポイント:

<税率の引き上げ>

2026年から燃料単位あたりの税率が大幅に上昇する。

・天然ガス:1立方メートルあたり36ペソ→83ペソ

・液化石油ガス(LPG):1ガロンあたり134ペソ→270ペソ

・ガソリン:1ガロンあたり169ペソ→384ペソ

・灯油:1ガロンあたり197ペソ→420ペソ

・ジェット燃料:1ガロンあたり202ペソ→420ペソ

・ACPM(ディーゼル):1ガロンあたり191ペソ→432ペソ

・重油(Fuel oil):1ガロンあたり238ペソ→503ペソ

・石炭(サーマルコール):1トンあたり52,215ペソ→109,285ペソ

<石炭への段階的適用>

・2026年に40%、2027年に60%、2028年に80%、2029年からは全額適用。

<免除事項>

・天然ガスおよび家庭用液化石油ガスは対象外。

・アマゾナス、バウペス、グアイニア、プトゥマヨ、チョコ各県の一部自治体では、ガソリン、ACPM、ジェット燃料の税率はゼロ。

<インセンティブと補償>

・カーボンニュートラル認証を受けた企業は納税を免除。

・補償は課税額の30%までに制限され、複数の課税期間での利用は不可。

<徴収資金の使途>

・45%:環境省の環境プログラム(植林、水資源保全、環境サービス支払い(PSA))

・11%:違法作物代替プログラム(PNIS)

・44%:国家一般予算

これら資金の管理は「生命と生物多様性のための基金」が担当する。

<その他の規定>

・税は2か月ごとに徴収され、毎年インフレ率(最大3UVT)に応じて調整される。

・DIAN(国税庁)が徴収および監督を行う。


この改革はエネルギー転換の推進、生物多様性の保護、国際的な気候変動対策の達成を目指しているが、既納税産業にとっては、税率の大幅な引き上げという懸念が生じている。

(リマ事務所 小嶋 吉広)

おことわり:本レポートの内容は、必ずしも独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構としての見解を示すものではありません。正確な情報をお届けするよう最大限の努力を行ってはおりますが、本レポートの内容に誤りのある可能性もあります。本レポートに基づきとられた行動の帰結につき、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構及びレポート執筆者は何らの責めを負いかねます。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。

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