インド:インド政府、石炭課税改革を通じて、電力安定供給とエネルギー自立の推進を図る考え

掲載日:2025年9月26日

9月17日付けの地元メディアによると、インド政府は9月22日、石炭に対する物品・サービス税(GST)の税率を従来の5%から18%へ引き上げる一方、1トン当たり400ルピー(約666円)の石炭課徴金を廃止すると発表した。石炭課徴金(クリーンエネルギー課徴金またはGST補償課徴金とも呼ばれる)は、石炭、褐炭、泥炭に課されるGSTに加えて課される追加課税である。

この措置により、国内産石炭の実効税負担が軽減され、高価な輸入石炭に比べて経済的に競争力が高まる。

政府によると、GSTの引き上げで1トン当たり約217ルピーの税負担が増加する一方、固定課徴金の撤廃によって実質的には約180ルピーの負担減となる。結果として石炭ユーザーにとってはコスト削減効果が見込まれ、電力需要が例年より弱含んでいる現状において重要な支援策となる。

この改革は、国営石炭会社CILにとって追い風となる。同社は足元で需要低迷や在庫増、民間事業者や再生可能エネルギーとの競争激化に直面しているが、課税緩和によって国内産石炭の価格競争力が高まり、輸入石炭を代替する余地が拡大する。2024/25年度におけるインドの石炭消費量は約9億7,600万トンで、そのうち約2億4,400万トン(全体の4分の1)が輸入に依存していた。また、輸入代替による外貨流出の抑制効果に加え、米国による高関税措置の影響を和らげ、国内需要を下支えする狙いもある。

インド政府は今回の税制改革を通じて、石炭市場における公平性と競争力を確保しつつ、電力安定供給とエネルギー自立の推進を図る考えである。

(石炭開発部 佐藤 譲)

おことわり:本レポートの内容は、必ずしも独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構としての見解を示すものではありません。正確な情報をお届けするよう最大限の努力を行ってはおりますが、本レポートの内容に誤りのある可能性もあります。本レポートに基づきとられた行動の帰結につき、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構及びレポート執筆者は何らの責めを負いかねます。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。

レポート一覧

Adobe Reader

PDF形式のファイルをご覧いただくには、アドビシステムズ社から無償配布されているAdobe Readerプラグインが必要です。

ページの先頭へ