米国:米国の石炭産業の活性化と拡大に向けたエネルギー省、環境保護庁、内務省各省による政策イニシアチブ発表

掲載日:2025年10月3日

9月29日、米国内務省主催により、「米国の美しいクリーンコールを推進する」イベントが開催され、米国エネルギー省(US Department of Energy: DOE)ウェルズ・グリフィス省次官、米国環境保護庁(U.S. Environmental Protection Agency: EPA)長官で国家エネルギードミナンス評議会(National Energy Dominance Council: NEDC)メンバーのリー・ゼルディン氏、および内務省(US Department of the Interior)ダグ・バーグム長官が出席し、同イベントにおいて各省の政策イニシアチブが発表された。
 
最初にDOEの公式発表によると、トランプ大統領の大統領令「米国の美しくクリーンな石炭産業の再活性化」および「米国電力網の信頼性と安全性の強化」※に基づき、米国の石炭産業の拡大と再活性化のため、6億2,500万ドルの投資を発表、以下の5つの対象に対して資金提供を約束した。
・短期的に電力容量を提供できる石炭火力発電所の再稼働及び改修プロジェクトに3億5,000 万ドル
・農村部へエネルギーを供給するためのプロジェクトに 1億7,500 万ドル
・廃水管理システムの開発・導入支援のために 5,000万ドル
・発電所の寿命を延ばすため混焼施設への改修の設計および導入に2,500万ドル
・天然ガス混焼システムの開発と評価に2,500万ドル
 
次にEPAのリー・ゼルディン長官は、EPAが実施している2つの主要な措置を発表した。データセンターや製造業をはじめとする米国内の増大する電力需要に無理なく対応できるよう、石炭火力発電事業者に対し、排煙脱硫廃水、ボトムアッシュ輸送水、燃焼残留浸出水に対するゼロ排出制限を含む既存の排出制限ガイドライン(Effluent Limitations Guidelines: ELG)への適合のための7項目の遵守期限を延長する。これが実施されれば、最終的に消費者が負担する電気料金が年間最大2億ドル削減されるという。
 
また、EPAが大気浄化法(Clean Air Act: CAA)に基づき、大気汚染の防止と大気の質向上を目的とした地域ヘイズ(煙霧)規制(Regional Haze Regulation : RHR)の実施と構成についての規制変更に向けて、一般市民から情報収集を行うための規則制定の事前通知(Advanced Notice of Proposed Rulemaking: ANPRM)を発行する。ANPRMからの情報を基に、提案規則および最終規則を策定すると公表した。
 
EPAはこれらの2つ措置を連邦官報に掲載し、60日間のパブリックコメント期間を設けることとしている。
 
さらに同イベントにおいて、内務省のダグ・バーグム長官は、1,310万エーカーの連邦政府所有地を石炭採掘のリースとして開放すると発表した。 これは、今年7月に施行されたトランプ米大統領による「ワン・ビッグ・ビューティフル・ビル法(One Big Beautiful Bil Act: OBBBA)」※で定められた基準の3倍に相当する。
 
内務省の公表資料によると、「ワン・ビッグ・ビューティフル・ビル法」に基づくリース販売は既に開始されており、これにはノースダコタ州のFreedom炭鉱とFalkirk炭鉱のプロジェクト、そしてアラバマ州、ユタ州、モンタナ州に位置するWorrior Met、Skyline、Spring Creek、West Antelope III各炭鉱における大規模拡張計画が含まれている。これらの販売は合計で数億トンの石炭と数十年分のエネルギー生産に相当し、同時に、ロイヤルティ率を7%に引き下げることで、生産者の世界市場での競争力を維持しながら、税収入の維持に貢献しているという。
 
※参考記事
2025年4月18日付:トランプ大統領、石炭産業を復活させる大統領令を発令
https://coal.jogmec.go.jp/info/docs/250418_1.html参照
2025年7月18日付:石炭優遇策を含む税制法案「One Big Beautiful Bill Act」が可決
https://coal.jogmec.go.jp/info/docs/250718_3.html参照

 

(石炭開発部 福水 理佳)

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