北米:カナダ、サスカチュワン州エネルギー安全保障戦略と供給計画を発表、石炭火力発電所を2050年まで延命
掲載日:2025年10月31日
カナダのサスカチュワン州政府は10月20日、エネルギー安全保障を最優先とするサスカチュワン州の電力ビジョンと長期戦略を示す、サスカチュワン州初となる「エネルギー安全保障戦略および供給計画」を発表した。この戦略ではサスカチュワン州が有するウラン資源を活用した原子力発電の実現可能へのコミットメントとともに、エネルギー安全保障に対し総合的なアプローチとして石炭火力を継続するとし、既存の3つの石炭火力発電所に対して耐用年数を2050年まで延長するとした。
本戦略では、風力や太陽光といった再生エネルギーの稼働率20~25%と比較して、石炭火力発電の稼働率が平均79~86%の信頼性があること、および、サスカチュワン州南部の100年以上の石炭埋蔵量を有することを挙げ、同州南部に位置するエステバン市のバウンダリーダム発電所およびシャンド発電所、また同州南部のコロナックにあるポプラリバー発電所が対象となり、稼働寿命を2050年まで延長する。これら3つの石炭火力発電所はそれぞれ672メガワット、276メガワット、582メガワットの電力容量を有し、最大合計1,530メガワットを同州の電力会社であるSaskPowerによって維持することができるとしている。また、これらの石炭火力発電所を稼働させることで、原子力発電への安全な橋渡しとして、信頼性の高いベースロード電源を確保することができるとし、エステバンとコロナック地域で1,100人の雇用が維持されるとしている。
サスカチュワン州政府は2016年、一部の石炭火力の2030年以降の稼働継続に対する合意書をカナダ連邦政府と締結している。これは、2016年にカナダ連邦政府が2030年までに国内の石炭火力発電を段階的に廃止する目標を掲げたが、石炭火力依存度の高い4州(ノバスコシア州、ニューブランズウィック州、サスカチュワン州、アルバータ州)に対して、各州が計画通りに排出削減を進めること等を条件に合意書を締結し稼働継続を認めたことに基づいている。しかし2023年以降、連邦政府の環境大臣は、CCS設備を備えていない石炭火力発電所に対して2030年以降は違法になると明言していたが、2025年6月、同州政府は連邦政府の規制に反し、同州が有する全ての石炭火力発電所の寿命を延長すると発表していた。
本戦略では、風力や太陽光といった再生エネルギーの稼働率20~25%と比較して、石炭火力発電の稼働率が平均79~86%の信頼性があること、および、サスカチュワン州南部の100年以上の石炭埋蔵量を有することを挙げ、同州南部に位置するエステバン市のバウンダリーダム発電所およびシャンド発電所、また同州南部のコロナックにあるポプラリバー発電所が対象となり、稼働寿命を2050年まで延長する。これら3つの石炭火力発電所はそれぞれ672メガワット、276メガワット、582メガワットの電力容量を有し、最大合計1,530メガワットを同州の電力会社であるSaskPowerによって維持することができるとしている。また、これらの石炭火力発電所を稼働させることで、原子力発電への安全な橋渡しとして、信頼性の高いベースロード電源を確保することができるとし、エステバンとコロナック地域で1,100人の雇用が維持されるとしている。
サスカチュワン州政府は2016年、一部の石炭火力の2030年以降の稼働継続に対する合意書をカナダ連邦政府と締結している。これは、2016年にカナダ連邦政府が2030年までに国内の石炭火力発電を段階的に廃止する目標を掲げたが、石炭火力依存度の高い4州(ノバスコシア州、ニューブランズウィック州、サスカチュワン州、アルバータ州)に対して、各州が計画通りに排出削減を進めること等を条件に合意書を締結し稼働継続を認めたことに基づいている。しかし2023年以降、連邦政府の環境大臣は、CCS設備を備えていない石炭火力発電所に対して2030年以降は違法になると明言していたが、2025年6月、同州政府は連邦政府の規制に反し、同州が有する全ての石炭火力発電所の寿命を延長すると発表していた。
(石炭開発部 福水 理佳)
おことわり:本レポートの内容は、必ずしも独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構としての見解を示すものではありません。正確な情報をお届けするよう最大限の努力を行ってはおりますが、本レポートの内容に誤りのある可能性もあります。本レポートに基づきとられた行動の帰結につき、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構及びレポート執筆者は何らの責めを負いかねます。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
