インドネシア:国営投資機関Danantara、PTBAのDME事業への単独資金拠出は困難と判断
掲載日:2025年10月31日
2025年10月21日付地元報道によると、 国営投資機関であるDanantara Investment Management Agency (BPI)は、PTBAが推進するDME事業(石炭をジメチルエーテル (DME)に加工する石炭ガス化プロジェクト)について、総事業費が約25億米ドルと巨額であるため、単独での資金提供は不可能との認識を示している。エネルギー鉱業法研究センター(Pushep)も、同規模のプロジェクトでは資金調達スキームや技術要件が極めて複雑であり、BPI単独で全額を賄うことは現実的ではないと指摘している。このためBPIは共同出資者の一つにとどまり、他の共同出資者との協力は不可欠と見られている。
また、出資構造の見直しに伴い、事業設計や詳細計画の再検討が必要となる見込みで、処理能力や生産規模などの経済性評価についても再度レビューが実施されるとみられる。インドネシア技術者協会(PII:Persatuan Insinyur Indonesia)鉱業部門トップは、事業の早期実現には新規投資家との合意形成が前提条件となると述べている。PIIによれば、新たな共同出資者は中国企業となる可能性が高い。中国は石炭下流加工技術に強みを持ち、DME生産の実績も有している。
同DME事業は前政権下でも推進されたが、2023年には主要技術パートナーであった米国APCIが撤退し、一度頓挫している。事業計画では、南スマトラ州タンジュンエニムにおいて年間600万トンの石炭を原料に約140万トンのDMEを生産し、LPG輸入(年間700~800万トン)の削減を図るとしていた。PTBAは現在、新たな出資者候補との協議を進めており、経済性調整がまとまれば2026年中の着工が可能であるとしている。なお、同地区には既に約8億トンの埋蔵量を確保済みとしている。
プラボウォ・スビアント政権下では石炭DME開発計画が再浮上しており、総投資額164兆ルピア(約98.7億米ドル)とされる本事業は、BPI資金供給対象とする18件の優先下流・エネルギー安全保障プロジェクトの中で最大規模である。政府は今後、ブンガラン、東クタイ、コタバル、ムアラエニム、パリ、バニュアシンの6地域でDMEプロジェクトを建設する計画を打ち出している。DME事業の投資額は、BPIが検討する優先下流案件の総額の約26.52%を占め、34,800人の雇用創出効果が見込まれている。
また、出資構造の見直しに伴い、事業設計や詳細計画の再検討が必要となる見込みで、処理能力や生産規模などの経済性評価についても再度レビューが実施されるとみられる。インドネシア技術者協会(PII:Persatuan Insinyur Indonesia)鉱業部門トップは、事業の早期実現には新規投資家との合意形成が前提条件となると述べている。PIIによれば、新たな共同出資者は中国企業となる可能性が高い。中国は石炭下流加工技術に強みを持ち、DME生産の実績も有している。
同DME事業は前政権下でも推進されたが、2023年には主要技術パートナーであった米国APCIが撤退し、一度頓挫している。事業計画では、南スマトラ州タンジュンエニムにおいて年間600万トンの石炭を原料に約140万トンのDMEを生産し、LPG輸入(年間700~800万トン)の削減を図るとしていた。PTBAは現在、新たな出資者候補との協議を進めており、経済性調整がまとまれば2026年中の着工が可能であるとしている。なお、同地区には既に約8億トンの埋蔵量を確保済みとしている。
プラボウォ・スビアント政権下では石炭DME開発計画が再浮上しており、総投資額164兆ルピア(約98.7億米ドル)とされる本事業は、BPI資金供給対象とする18件の優先下流・エネルギー安全保障プロジェクトの中で最大規模である。政府は今後、ブンガラン、東クタイ、コタバル、ムアラエニム、パリ、バニュアシンの6地域でDMEプロジェクトを建設する計画を打ち出している。DME事業の投資額は、BPIが検討する優先下流案件の総額の約26.52%を占め、34,800人の雇用創出効果が見込まれている。
(ジャカルタ事務所)
おことわり:本レポートの内容は、必ずしも独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構としての見解を示すものではありません。正確な情報をお届けするよう最大限の努力を行ってはおりますが、本レポートの内容に誤りのある可能性もあります。本レポートに基づきとられた行動の帰結につき、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構及びレポート執筆者は何らの責めを負いかねます。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
