インドネシア:東カリマンタン州、石炭下流産業発展に大きな可能性

掲載日:2025年11月7日

2025年10月28日地元報道によると、ムラワルマン大学(Unmul)の学術研究者チームは、東カリマンタン州(Kaltim)には石炭を原料とする新たな産業(下流加工)を発展させる大きな可能性があると発表した。

東カリマンタン州はインドネシアで最大の石炭埋蔵量を誇る州であり、その量は118億7,000万トン、国内総埋蔵量の37.14%に達するとされている。そのうち約75%が低カロリー炭である。低カロリー炭は発電には不向きであるが、加工によって高付加価値製品へ転換することで大きな経済価値を生み出せるとしている。

低カロリー炭にとって最も有望な技術の一つが「ガス化」である。ガス化とは、石炭などの固体燃料を合成ガス(syngas)に変換する技術であり、この合成ガスからはメタノール、DME、アンモニア、水素など、さまざまな高付加価値の派生製品を製造することができる。

現在、東カリマンタン州では複数の石炭下流プロジェクトが計画段階または建設準備段階にある。たとえば、同州東クタイ県ベンガロンにおけるPT KPCとPT KNCによる「石炭からメタノールを製造するプロジェクト」では、年間180万トンのメタノール生産が可能と見込まれている。また、PT Kideco Jaya Agungによる「石炭からアンモニアを製造するプロジェクト」も計画されており、年間10万トンのアンモニア生産を目標としている。さらに、PT Multi Harapan Utamaによる「半コークス炭工場」の建設計画もあり、年間50万トンの生産が見込まれている。

ムラワルマン大学工学部チームは、バリクパパン層およびプラウ・バラン層に含まれる低カロリー炭を対象にガス化実験を実施した。その結果、これらの石炭はガス化に適しており、反応性を示す指標であるマセラール含有率が83%以上であることが確認された。

この結果を踏まえ、同チームは今後、東カリマンタン州クタイ盆地における石炭ガス化に関するさらなる集中的な研究が必要性であると指摘している。また、同大学の研究グループは、石炭ガス化技術を最適に活用することが、最終的には燃料輸入依存からの脱却を通じて、国家のエネルギー自立と発展を支えるものであると強調した。

注)マセラール含有率とは、石炭の性質を評価する際の重要な指標であり、石炭中に含まれる有機成分(マセラール:maceral)の割合を示す。マセラールは石炭中の燃焼しやすい有効成分であり、この含有率が80%以上であれば、燃焼性が高く、ガス化や液化に適しているとされる。

(ジャカルタ事務所)

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