米国:EIA短期エネルギー見通し: 2025年8月分(石炭)

掲載日:2025年11月7日

8月12日、米国エネルギー省エネルギー情報局(U.S. Energy Information Administration: EIA)が月例の短期エネルギー見通し(Short Term Energy Outlook: STEO)を発表した。8月公表のSTEOにおける米国の石炭に係る主な見通しの概要は以下の通りである。
 
今次STEOでは、米国の2025年における石炭生産量は、前年比で2%増となる5億2,000万ショートトン(520MMst)となると予測する。同年の生産量増加の大部分は2025年上半期の生産活動の活発化によるものであり、同期間中の生産量は2億6,700万ショートトン(267MMst)となったと見られている。
 
2025年上半期の石炭生産量の増加は、前年同期間比で生産量が6%増となったアパラチア地域によって牽引された。同地域における生産量は、昨年起こったメリーランド州ボルチモア港で発生したフランシス・スコット・キー橋の崩落事故の影響で一時的に低減していたが、橋と航路は既に復旧しており、また天然ガス価格の上昇によって電力部門における石炭需要が高まったことを受け増加している。
 
2025年下半期の石炭生産量は、石炭火力発電所における備蓄量の縮小に向けた取り組みによって全米各地で若干減少し、2億5,500万ショートトン(255MMst)となると予測する。2026年の全体の石炭生産量については、石炭火力発電所の稼働停止および稼働を継続している当該施設が膨大な石炭在庫を抱えていることから更なる減少が見込まれ、4億9,000万ショートトン(490MMst)となると予測している。(図1参照)

出所:U.S. EIA 「Short Term Energy Outlook August 2025」
図1米国の2023年から2026年までの地域別石炭生産量推移と予測
および2025年から2026年半期別生産量推移(単位:100万ショートトン)


今次STEOでは、米国の2025年における石炭輸出量は前年比で10%減少し9,700万ショートトン(97MMst)となると予測する。同減少は、世界市場が一般炭及び原料炭共に一貫して供給過剰状況であったこと、および石炭価格が低迷していたことを反映している。
 
一般炭については、国内価格が昨年夏以降確実に上昇していることをうけ、一般炭生産者は国内市場向けの販売に軸足を移している。これにより、2025年の一般炭輸出量は前年比で7%減少し4,700万ショートトン(47MMst)に、2026年には更に減少し対前年比で5%減の4,500万ショートトン(45MMst)となると予測する。
 
2025年の原料炭輸出量は前年比で13%減少し5,000万ショートトン(50MMst)となると予測する。原料炭生産者は世界市場における価格の低迷に直面しており、輸出による利鞘の縮小から生産活動を抑制している。加えて、中国が米国製品の輸入に課した関税により、米国の中国向けの石炭輸出は実質ゼロとなった。
 
原料炭の生産及び輸出にまつわる展望は複数の要因により依然として不透明な状況にある。だが、世界市場における価格は徐々に回復すると目されていることから、今次STEOでは、2026年の当該輸出は概ね横這いとなると見ている。(図2参照)

出所:U.S. EIA 「Short Term Energy Outlook August 2025」
図2 米国の2021年から2026年までの一般炭及び原料炭輸出量年別推移と予測
(単位:100万ショートトン)
 

(ワシントン事務所 三澤 律子)

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