米国:EIA短期エネルギー見通し: 2025年11月分(石炭)

掲載日:2025年12月5日

11月12日、米国エネルギー省エネルギー情報局(U.S. Energy Information Administration: EIA)が月例の短期エネルギー見通し(Short Term Energy Outlook: STEO)を発表した。11月公表のSTEOにおける米国の石炭に係る主な見通しの概要は以下の通りである。
 
今次STEOでは、EIAが実施している電力事業者への月次調査(EIA-860M調査)による報告書に基づき、2026年の石炭火力由来の発電容量を、今年初旬の予測から約3ギガワット(3GW)上方修正した。更に、電力需要が増大の一途を辿っていることを受け、2026年の最終消費者に対する販売電力量は2.6%増となると予測する。
 
米国における2025年第三四半期の石炭生産量は、前四半期比で10%増となり、1億4,100万ショートトン(141MMst)に達したと見込んでいる。これは2023年第三四半期以来最大の生産水準である。その後、第四四半期には前年同期間比3%減の1億2,500万ショートトン(125MMst)に減少すると見ている。
 
2025年の石炭年間生産量は前年比で3%増となる、5億2,600万ショートトン(526MMst)となると予測する。この2025年の生産量の増加は、特に同年上半期に天然ガス価格が上昇したことや、閉鎖が予定されていた石炭火力発電所の稼働が継続されたこと、そして年始に国内各地で気温が例年を下回ったことによる、暖房用電力の需要拡大等を反映したものである。
 
こうした需要の拡大により、2025年末時点での電力部門における石炭備蓄量は、2024年同時期比で17%減となる1億700万ショートトン(107MMst)となると予測する。


出所:U.S. EIA 「Short Term Energy Outlook November 2025」
図1米国の2023年から2025年の四半期ごとの地域別石炭生産量(左)および
2025年から2026年の四半期ごとの地域別前年同時期比の変化量(右)の
推移と予測(単位:100万ショートトン)

今次STEOでは、米国における2026年の石炭年間生産量は、前年比で3%減少し、5億900万ショートトン(509MMst)となると予測する。これは、前年比では減少となるものの、先月STEOでの予測からは1,500万ショートトン(15MMst)の上方修正である。なお、この上方修正は、石炭市場で起きている変化に対して、石炭火力発電所が備蓄を増やす可能性が高まると鑑み、結果として先月の予測から備蓄量を13%増加させている。
 
米国における石炭生産量は、アパラチアにある3つの炭鉱、アレギニー・メタラルジカル(Allegheny Metallurgical)社のロングビュー(Longview)炭鉱、コア・ナチュラル・リソーシズ(Core Natural Resources)社のリーア・サウス(Leer South)炭鉱、そしてウォリアー・メット・コールズ(Warrior Met Coals)社のブルー・クリーク(Blue Creek)炭鉱における生産活動再開により、当初の予測から生産量増加となると考えられる。このことを受け、今次STEOでは、米国における2026年の原料炭の輸出量は、2025年比で9%増加すると予測する。ドル安に向かう可能性と、原料炭の価格上昇は、米国の2026年における原料炭輸出にとって更に好ましい状況をもたらすため、石炭生産がさらに後押しされることになると考えられる。


 

(ワシントン事務所 三澤 律子)

おことわり:本レポートの内容は、必ずしも独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構としての見解を示すものではありません。正確な情報をお届けするよう最大限の努力を行ってはおりますが、本レポートの内容に誤りのある可能性もあります。本レポートに基づきとられた行動の帰結につき、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構及びレポート執筆者は何らの責めを負いかねます。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。

レポート一覧

Adobe Reader

PDF形式のファイルをご覧いただくには、アドビシステムズ社から無償配布されているAdobe Readerプラグインが必要です。

ページの先頭へ