インドネシア:DMO(国内石炭供給)拡大・生産削減策、石炭価格の「下支え効果」にとどまるとの見方

掲載日:2025年12月19日

2025年11月24日付の地元報道によると、専門家は、国内市場供給義務(DMO)の拡大や石炭生産量削減政策について、石炭価格の下落をある程度抑制する効果は見込めるものの、価格の押し上げにはつながらないとの見方を示している。

Permata銀行の主席エコノミストは、仮にインドネシアの石炭輸出が減少したとしても、他国がその供給不足を補う可能性が高いと指摘する。インドネシアは世界の石炭輸出量の約3分の1を占めており、理論上は輸出減少が価格上昇要因となるが、実際には豪州、ロシア、モンゴル、南アフリカなどが供給を増やし、市場を補完する可能性が高いとしている。

また、中国およびインドでは、インドネシア産の中低カロリー炭から高カロリー炭への切り替えが進んでおり、これも価格形成上のマイナス要因となっている。さらに、世界的に石炭需要が弱含んでいることから、インドネシアによる供給調整のみでは価格を押し上げる力は限定的であり、本政策は価格の「下支え策」として捉えるのが現実的との見解を示した。

一方、石炭業界は、DMO価格が2018年以降据え置かれている点に強い不満を示している。電力向けのDMO価格は70米ドル/トンであるのに対し、高カロリー炭の市況価格は約102米ドル/トンとなっている。生産コストは、ストリッピング比の上昇(掘削量増加)や燃料費の高騰、バイオディーゼル混合義務によるコスト増などを背景に上昇しており、DMO割合のみを引き上げた場合、企業収益が一段と圧迫されるとの懸念が出ている。

エネルギー・鉱物資源省(ESDM)は、現時点でDMO価格を見直す予定はないとしている。一方で、来年の石炭生産目標を7億トン未満に引き下げる可能性があるほか、DMO割合を引き上げる案を検討している。

ESDMのデータによると、2025年1~9月の石炭生産量は5億8,500万トン(前年同期比7.47%減)、輸出額は179億4,000万米ドル(同20.85%減)となっている。また、輸出量は2億8,523万トン(同4.74%減)となっている。石炭価格は、2025年11月21日時点で110.9米ドル/トンと小幅に下落したものの、週次ベースでは0.27%上昇している。

※なお、輸出額および輸出量はいずれも褐炭を含まない数値である。

(ジャカルタ事務所)

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