インドネシア:2026年の石炭DMO量、国内需要安定を背景に大幅変更は見送られる可能性

掲載日:2025年12月19日

インドネシア政府は、2026年の石炭生産量を引き下げる案を検討している一方で、現時点では国内供給義務(DMO)の割合を変更しない方針を示している。これに対し、鉱業技術者協会(PII)の会長は、政府が本気で石炭生産量を削減するのであれば、DMOの割合を引き上げる必要があると指摘している。

その理由として、DMOが生産量の25%という固定割合である場合、生産量を減らすとDMOの供給量そのものが減少し、国内需要を満たせなくなる点を挙げている。例えば、石炭生産量が8億5,000万トンの場合、DMOは2億1,250万トンとなるが、生産量を7億5,000万トンに引き下げ、国内需要が2億3,000万トンある場合には、DMO割合を30%に引き上げる必要があるとしている。従って、重要なのはDMOの「割合」そのものではなく、電力、セメント、肥料などの国内需要と生産量とのバランスであると指摘している。

一方、インドネシア鉱業専門家協会(Perhapi)の会長は、2026年の国内石炭需要は2億トン前後で安定すると予測している。2024年は2億3,300万トン、2025年は約2億2,000万トンと推計されており、発電所の新規増設計画がないことから、今後も需要が大きく変動する可能性は低いとしている。電力以外の用途(セメント、肥料、製錬など)についても大きな需要増は見込まれておらず、国内消費は概ね横ばいで推移するとの見方を示している。

DMOの増量を巡る議論は、生産削減案と並行して進められており、どの水準に設定するにせよ、公平性を確保しつつ、国内で確実に吸収可能な量とする必要があるとの見方が示されている。

エネルギー・鉱物資源省(ESDM)は、2026年の石炭生産目標を7億トン未満に引き下げる可能性を示している。現在の生産目標は7億3,500万トンで、2025年1~9月時点の実績は5億8,500万トン(前年比 7.47%減)となっている。また、DMO割合の引き上げ案についても評価の最終段階に入っており、2026年の企業予算作業計画(RKAB)提出期限と並行して議論が進められている。ESDMは、生産量を引き下げた場合、同一のDMO割合を維持するとDMO供給量が減少するため、割合を引き上げる必要が生じるとの認識を示しているが、具体的な割合については未だ決定されていない。中央統計局(BPS)のデータによると、2025年1~9月の石炭輸出額は前年同期比20.85%減の179億4,000万米ドル、輸出量は同4.74%減の2億8,523万トンとなっている。なお、これらの輸出額および輸出量はいずれも褐炭を含まない数値である。具体的な需要減速と価格下落が続く中、インドネシアの石炭産業は全体として縮小傾向にある。

なお、最新のDMO制度は、鉱物・石炭法(2025年 法律2号)に基づき制定された政府規則(PP39/2025)に定められており、電力、エネルギー、肥料、国家戦略産業を担う国営企業(BUMN)への供給を義務づけている。

(ジャカルタ事務所)

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